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球と錐との相対関係分析のための要約路線
郡山 正  


 一点と、それを取巻く全空間の関係のなかで、その一点から一定の距離にある点を全部集合すれば「球面」、一定の長さの線を集めれば「球体」となる。

 この場合、最初に定める一点を、我々の視点もしくは何らかのエネルギーの起点と考えれば、「球面」は我々の全視界、そしてある位置からの等エネルギー点の等質zoneであり、球体は視界内の全空間、そしてエネルギーの全進行状態を表現していると考えることが出来る。

 我々が形体のことを思考するというのは、その形体のvisualな姿を操作すると共に、その形体の中に含まれるあらゆるpotentialなenergyや運動について分析することである。したがって球体や球面の全部とその部分との関係、一つの球体と他の球体、一つの部分球面と他の部分球面の関係といったことを分析することは形体の基本的な性格を正確に認識する有力な方法なのであって、そのような学問的手段である射影幾何学をも、現在の次元以上に上昇させるために是非通過すべき路程でもある。

 「projective geoometvy is all geometry」というCayley(1821〜1895)の有名な言葉は形の根元的なものに対する研究である幾何学(geometvy)は射影幾何学(projective geometry)をもってそのLimitに達したものと見ている。即ちEuclid、相似、affine、双曲楕円の各幾何学が射影の名のもとに見事に一意化されたと説いているのである。確かに一点を中心とした空間の束線は、それをよこぎる様々の曲面によって束線の向うあらゆる形体の特質(幾何学的特質だけではない)を、Sectionとして定着する。

 だが、一点に集る束線は、必ずしも直線もしくは直線的である必要はない。Homology、Homotopy等の概念を導入することにより、球体的束線群は自由な多様な空間に連続的に開放される。

 これらの方法を逆に思考する時は、始めにVisualな通常の形体があって、その形体についたpotentialな意味としての無限の幾何学的基本形体が抽出され、更に若干個の要約された基本形と法則が抽象されるのである。球面、球体はその原理の中心的全体像であり、錐形はその部分である。故にこの命題である球と錐との相対関係の分析は、空間的形体を思考する上での基底的研究たることを示している。

 球と錐の相対関係は次のように分類することが出来る。以下表現を単純化するために球面を、S、球体をimgS、円錐面をC、円錐体をimgCと記す。外形が合同の場合、S⊂imgS、C⊂imgC又imgC∈imgS∋Sの関係もある。これらに量の大小を考慮する。大は無限大、小は微分小まで連続的に存在するが、これらは等量(α)、対比的相対量(δ)、類似的相対量(β)の三様相に分けて考える。

 次に二つの形体の空間的関係を次の三つの状態に分ける。開離状態(V)、接触状態(T)、交合状態(U)である。この最後の(U)は、二つの形体が合同でない時は更に内接(TU)、内離(VU)、重合(極が一致した場合)(UU)、に分かれる。

 これらの関係を表にして見ると、最初のS・imgS・C・imgCの組合せは、同じもの同志の組合せ4種、異る同志の組合せ6種で計10種の関係があり、それらの一組ごとに次のような15の状態が調査されねばならぬ。

img V T U
α 1 2 3
β 4 5 U TU VU UU
6 7 8 9
δ 10 11 12 13 14 15

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