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色調把握について
海本 健  


 色彩の用い方には、兎角、個人の嗜好性一辺倒な片よりを示す場合が多いが、多目的をもつデザインにおける色彩の活用に対して、デザイナーはフレキシブルな色彩感覚を持たねばならない。

 そのためには、広範囲の、種々の性格、特質をもつ色彩の系統的な把握が必要である。

 その方法の一つとして、色の三属性の基本的理解の上に、さらに、変化に富んださまざまの色調に対して、ある共通な性格をもったブロック別の把握が考えられる。

 このような、ある範囲をもつ色彩のブロック別の把握には、系統色名のシステムがあり、現在、最も権威ある色名に関するシステムとして、全米色彩協議会ISCC<Inter-Society Color Council>と国家基準局NBS<National Burean of Standards>とによって1955年に設定されたISCC-NBSシステムがある。

 このシステムの色彩分類と色名法では、まず、主要な系統色名を選び、それに、色相の形容をつけて28種の系統色名を決め、さらにそれぞれの系統色名に、明度・彩度に関する修飾語を組み合わせて細分類するようになっている。

 このような色調を表わす修飾語には次のようなものがある。


vivid ビビット   brlliant ブリリアント
strong ストロング   deep ディープ
very deep ベリーディープ   very light ベリーライト
light ライト   moderate モデレイト
dark ダーク   very dark ベリーダーク
Very pale ベリーペール   pale ペール
light grayish ライトグレーイッシュ   grayish グレーイッシュ
dark grayish ダークグレーイッシュ   blackish ブラッキッシュ
gray グレーの色名であらわされる色は
light gray ライトグレー   medium gray メディアムグレー
dark gray ダークグレー  

 このような色調は、それぞれ明度と彩度の関連変化によるものであるから、次に、明度と彩度について、それぞれ大きな三つのブロックで把握してみると、

I l. 高明度域の軽い感じの色調
Hight key  記号 H
 
  2. 中明度域のやや暗い感じの色調
Intermediate Key  記号 I
 
  3. 低明度域の暗く重い感じの色調
Low Key  記号 L
 
II 1. 高彩度域の強い、派手な感じの色調
Strong  記号 S
 
  2. 中彩度域のやや派手な感じの色調
Moderate  記号 M
 
  3. 低彩度域の弱い、地味な感じの色調
Weak  記号 W
 

として把えることが出来、さらにIとIIの関連によるブロック別は、次の9領域として把握することができる。

(1) HS
高明度、高彩度
(6) IM
低明度、中彩度
   
(2) IS
中明度、高彩度
(7) HW
高明度、低彩度
   
(3) LS
低明度、高彩度
(8) IW
中明度、低彩度
   
(4) HM
高明度、中彩度
(9) LW
低明度、低彩度
   
(5) IM
中明度、中彩度
   
     

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