高周波熱利用による成型合板の実習報告
魚住双全
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 治具完成後、いよいよ成型接着に入るが、その際特に以下のことに注意をはらわなければならない。
(1)老化性の少ない接着剤を使用する。
(2)接着剤の塗布量を適量にすること。
(3)接着剤の塗布は迅速に行う。
(4)捨板は汚損防止・水分の吸収体として必ず使用する。
(5)圧締の際、木片・ゴミ・捨板の杢目割等によって汚損の原因を充分とりのぞくこと。
(6)成型時闇は5〜10分間程で接着剤が気泡を生じたら高周波を止め放冷を10〜20分位いすること。

高周波成型作業   脚部成型合板と治具
脚部成型合板と治具
高周波成型作業

 このようなことから、あらかじめ接着剤の塗布量を単板の枚数分用意するとともに一枚当りの量を測りながら塗布する。単板はカバ材を積層し、化粧単板にはウオールナットを使用した。また強度を持たせるため単板の繊維方向を直角に交叉させて積層接着していった。接着剤は尿素系合成樹脂接着剤を用い、均一に薄く塗布し、治具に取りつけて完全圧締した後高周波をかけた。

 特に脚はダブルカーブであるため一度に完全圧締しないで、高周波加熱によって木材に柔軟性と可塑性を与えた後徐々に圧締を完了させた。成型終了後、初めのプランに合わせ余分な部分を削り、座・脚とを組みたてて全体の形を整え、クリヤーラッカーを塗装して完成した。

 以上が加工工程についてであるが、治具製作中に脚のふくらみが足りないことが解り、プランを修正したり、治具の製作が良くなかったり、脚の成型時のひずみのため化粧単板に割れが生じ捨板をその度に新しいものに代えなくてはならなかったり、治具の木取り、単板の木取り、表面材である化粧単板の処理の仕方など大いに学ぶべき点があり、最初の目的を十分満足する結果を得ることが出来たと思う。


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