カートンの構造的分類〔序論〕
横山 徳禎
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1 貼り箱

 貼り箱は板紙(黄ボール、白ボールなど)を生地として針金またはテープで4隅を固定し、それに印刷した紙、または特殊加工をほどこした紙を貼ったもので、どちらかというと、手作り的な要素が入ったものである。かつてはこの紙をひとつひとつ貼っていたものであるが、全部が全部変わってしまったわけではないが近ごろでは自動貼りの機械も開発され、ぼつぼつ使用されるようになったため、非生産的な面が大分解決され、品質も向上した。

 貼り箱はカートンの中でもっとも体裁がよいもので、贈答用に多く使用されている。種類としては次のように分けることができる。

◆ ワンピース型(蝶番式)

 身およびフタという2つの部分に分けられることなく、蝶番状の個所を設け一体としたタイプで、体裁としては比較的高級な感じがする。一般的には化粧品類に多く用いられている。

◆ ツーピース型

 このタイプは2つに分けることができる。すなわち身およびフタの2つに分けられるもので、貼り箱のもっとも一般的なタイプで、形状はさまざまである。もう一方は筒状の部分と、そこに差し込まれる引き出し状のもの(一般には中舟という)との2つで構成されているタイプに分けられよう。前者はさらにフタの深さが浅いものと、身と同じ深さにあるもの、また身の底面の周囲に出っぱった部分を設け、全体の体裁をやや豪華に感じさせるものなどに分けられる。これらのタイプは比較的白自由な形を作りだすことができ、その点からも相当幅広く利用されているものである。これらはだいたい贈答品類にその多くが利用されており、化粧品、医薬品、キャンデー、チョコレート、アクセサリーその他に用いられている。

◆ 特殊型

 ここにはいくつかの種類をあげることができる。まず変形物であるが、近年少なくなったこのタイプは、特殊な目的に用いるもので、どちらかというと趣味性の強いものである。一方このところプラスチックの進出によって、大分その姿は変ってしまったが、台紙を中心に形作られている特殊型がある。このタイプは、内容物の形態、目的に応じた台紙あるいは台座を中心にまとめられているもので、物品そのものの商品価値を高めるとともに、消費者に対しての心理的効果をねらう場合によく用いられ、貼り箱の一部として利用されることが多いが、最近ではプラスチックにその座をゆずった感が強く、ブリスターパック、スキンパックなどに変っていく状態であるといえる。またこの特殊型の中でディスプレイタイプのものもあげなくてはならない。すなわちワンピースあるはツーピースにより構成されているもので、折り曲げあるいは組み合わせを変えることで使用する際に便利であるよう考慮され、合わせて店頭効果をねらったものも少なくない。クレパス、色鉛筆などのパッケージにそれを見ることができるが、前2種と同じように、新材料の開発によって、その形態、構造が根本的に変りつつある。

 このように貼り箱は、それなりの良さはふくんでいるものの、加工技術の進展、大量生産、大量消費のかげに隠れた感じで、折りたたみ箱におされ気味である。


2 折りたたみ箱

 折りたたみ箱は主として白ボール、マニラボールその他の厚手の紙に美しく印刷処理をほどこし、折り目、切り込みあるいは打抜きを用い、また接着剤などを用い組み立て、内容物が入っていない場合には折りたたんで、収納輸送に場所を取らず、値段も安く、扱うのに便利、また大量生産方式による方法であるため、現代的で合理的なカートンといえ、その適応性は広く、なくてはならぬ重要な位置を占めている。またこのパッケージは紙だけを単独に用いるのみでなく、他の材料、例えばポリエチレン、アルミフォイルなどと合わせ用い、互に欠点をカバーし合い、効果的なパッケージを作りあげるのに適したタイプであるといえよう。したがってその種類も多く、次のように分けることが考えられる。

◆ 筒型−サックカートン

a 差し込み式

 差し込みが中心になって形作られるタイプで、これが同じ側につく直サックと呼ばれるものと、互に反対側につく逆サックと呼ばれるものとの2種類に分けられる。これにはベロの折線の一部に切り込みをつけ、抜けにくくする方法がよく用いられている。石けん、キャンデー、キャラメルなどのパッケージにこれを見ることができる。

b 天差し込み底接着式

 差し込みだけでは重量物をおさめた場合に不安であるため、底に当る部分をのり付けしてしまう方法がある。このため丈夫さを増し、安定性を高めているタイプであるが、実際には比較的少ない。

c 天差し込み底組合わせ式

 底の部分をのり付すると扱う場合に不便を生ずる、それを解決し便利さも増して用いられるのにこの方法がある。つまり4辺のフラップを互いに掛けあわせることで固着するもので、組み立ては簡単である。最近この形式のものが非常に多い。

d ロックエンド式(蝶々止め式)

 軽いビン類などを入れるカートンにしばしば用いられる。蝶々と呼ばれる雄雌の差し込みで底が構成され、抜けにくくしたもので、形式は数種類ある。これは機械的に組み立てることはなく、手によってそれがなされる。

e シールサック(天底接着式)

 最近は自動充填が盛んになり、それにともなって目立つようになってきたカートンである。天と底を接着剤によって固着するもので、医薬品、粉末洗剤などにそれを見ることができる。内容物を機械で自動的に充填し、シールしてしまう方法で、一般的には開封後ふたたび閉じることができにくい。この辺は今後の開発が待たれる。

f ロックボトムカートン(底折り込み貼り付け式)

 蝶々止めが発展し、扱い易くなったものがこれである。折りたたみが可能で、しかもその一部が接着されており、たたんであるカートンを左右から押し起すと同時に組み立てられるもので、ワンハンドカートン、あるいはワンタッチカートンと呼ばれ広く用いられている。扱いにくい部分はなく、誰にも容易に組み立てられるもので、生産性も非常によく、今後ますます増加するカートンのひとつである。飲料ビン用のカートンなどに用いられている。

g 変形型

 チョコレート用カートンにみられるテーパーのついたもの、曲面で構成され、その弾力を用いて固定する方法をとったもの、仕切りを中心にしてまとめたものと、ここにあげるタイプは数多い、要するにa〜fに属さないものがほとんどここに入ってしまうことになり、これを分類することは必要であるが、その中での代表的なものをあげるのにとどめておく。





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