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研修会報告<倉内史郎氏の講演から>
本間英樹/平野 久/近藤 英  


●各種学校を考える一概観と考察のための座標軸
本間英樹/平野 久/近藤 英(企画ならびに報告)

<126万人の生徒が学ぶ>

 各種学校に共通の特長は法制上の規程がなく、多種多様であり、内容規制もない点である。全国約8000の各種学校に126万人の生徒が在学しているが、校数の96%、在学者数では98%もが私立校にいる。国や地方自治体は国家的問題として取上げないし、経営も行わない。民間的性格とでも規定できる、私ごとの教育機関に自発的に学びたい人が126万人も在学していることに先ず注目したい(昭和47年度で4年制大学在学者は153万人、短大生24万人)。

 生徒の年齢構成を見ると、その巾の広さが目につく。通常の教育体系では4年制大学の卆業で一応の終止符を打つが(21才)、それ以上の年齢層を数多く含むのが、各種学校の特色の一つといえる。さらに、夜間部を置く学校が過半数を超すことが指摘できる。これは他の種類の学校に比べて最も多い。夜間大学生は大学生総数の10%に満たないが、各種学校では在籍者の35%が夜間部の生徒である。これは全日制(フルタイム)でなくとも学び、学べることを実証しているといえるだろう。

<各種学校の種別と教育目的>

各種学校の種類を、ひとまず在学者の多い順に、分けてみると次のようになる。
 
1. 服装・家政(和・洋裁、手芸、料理など)
2. 医療・衛生・福祉(栄養、調理、保育など)
3. 工業技術(工業通信、自動車整備など)
4. 商業実務(タイプライター、簿記、英会話など)
5. 芸術・文化(デザインはここに含まれる)
6. その他(予備校、自動車、外国人、宗教など)

上記の種別を一応の目安として、以下の諸点が指摘できるだろう。
i) 職業資格、検定合格の為などの目的を持つ、即ち、公的な性格の(publicな制度につながる)ものは、殆んど厚生省が規則を定める国家試験を経て目的を達成する2を筆頭に、3、4、と続く。
ii) 一方、私的(private)なものは、服飾界に見られるように団体が資格を設定する場合もあるが、1と5である。とりわけデザイン学校は、民間性が顕著な各種学校のうちでも、私的な存在といえるのではなかろうか。
iii) 職業教育指向か非職業的な教育を目指すかによって組わけすれば、2を頂点に3、4が職業的なグループであり、対極に予備校を含む非職業的な6を置くことができるだろう。もちろん、6にもいえることだが学ぶ人によってどちらともいえない両側面を含んでいる1、5を両グループの中間の存在として位置させることができる。

 教育は単に実利・実用を目的とする、とする考え方と、もともと自分自身を豊かにすることが求められ期待されるのだ、という考えが併立もしくは対立しがちである。この二面性を各種学校も併せもっているといえる。

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