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桑沢デザイン研究所教員研修会レポート2012

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空を飛ぶという、夢うつつのまま素晴らしい出来事を体験する[図6]。傘は人間以外の不思議な生き物とのあいだでも、交流するきっかけを生み出している。な生き物なのであった。傘を介して交流を深めることで、母の死の可能性に脅かされる幼い姉妹を、彼らは直接的ないし間接的に力づけ励ます存在として現れている。この作品では、上記のような少年や不思議な生き物との関係が深まることで、この後のストーリー展開が生み出される。父親が都心にある勤め先へと出かけている間に、母親の入院先から姉妹の元へ電報4.ストーリーを構成するメディア・モノ利用『リリイ・シュシュのすべて』のBBS、『ユー・ガット・メール』の電子メール、『モテキ』のツイッター。が届く。姉は少年の祖母に促され、少年に連れられて、彼の本家に設置されていた、当時は未だ貴重な電話を借りに行く。ここでも作品の時代設定である昭和三十年代に合わせて、用件を伝えるメディアがそれとなく用いられているが、さらに父と電話で連絡が取れた後で、今度は妹の姿が見えないことに気づく。母親の病状を心配し、死を怖れて泣き出した姉を見て、妹も母親の元へと向かい、迷子になっていた。そしてこの妹のことを親身になって、自転車を用いて探してくれたのが少年であり、妹の所へ連れて行ってほしいという少女の願いを聞き入れ、猫のお化けのバスを手配してくれたのが、あの不思議最後に本年度のさまざまなクラスでの報告で印象に残った、いくつかのネットワーク・メディアの創造的な利用法について事例を挙げておきたい。まず対面空間における関わり方に加えて、インターネット技術をメディアとして利用したネット空間での関係が加わることで、ストーリーが展開し出来事が構成される作品がある。例えば『リリイ・シュシュのすべて』ではBBS(電子掲示板)が重要な働きを担う[図7]。学校での対面空間ではいまや<いじめる-いじめられる>という関係にある二人の少年が、互いに相手のことを知らぬままに、ある歌手のファンサイトにおけるBBSでの書き込みを通じて、互いに共鳴し共感するようになる。しかもいじめられている少年のほうがサイトを運営する管理人で、いじめる方は参加者という、対面とは逆の主従関係になる。そして歌手のコンサート会場で、いつもいじめられている少年だけが、いつも自分のことを力尽くで従わせる少年がじつはサイトで共感し合った、あの相手でもあることを一方的に知る。しかし、やはり対面時ではい図6.『となりのトトロ』いっしょに飛ぶつもと変わらず、大切なコンサートのチケットを奪19