ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

「陰影論」からそして南蓼科へ冬の林に潜む生命の循環をイメージしたデジタル絵画藤原俊樹|スペースデザイン担当Toshiki Fujiwara標高1200m、マイナス15度、冬の南蓼科を歩く。深い雪のなか、枝だけになった樹形が黒一色の線となり図化する。グラフィックデザイナーの戸田ツトムは『陰影論』の中で、こう述べる。た雪原の平面。しかし実際のところは、その深部に、厖大な微小生物の誕生、生活、そして死が主役となる不可視の生のプロセスが,冬を徹して展開されているはず。微小な事物や生物が無限に擦れあう、擦過音の静かな嵐。舞台は、雪に被われた地表の下へと移動します。」「冬の林・・・夏の賑わいから遠く離れ、見るべき華やかさや風景が、人の眼に感じられることは極めて少なくなります。枯れたヤブと、雪の原がひたすら続きます。華やぐ生活や産物、そして虫や鳥、他の樹木や草花、地衣類や菌類とのコミュニケーションも絶えたかに見える林は、文字通り森閑と静まりかえり、時おり鳥の羽音や風を受けた小枝の音などが雪の中から聞こえるだけ・・・。一見、立体的な生命力を感じさせず、静寂の中に押し黙る荒涼とし「地表に葉が落ち、地中にはじまる発酵を促す・・・。白い枯野にしか見えない、冬の林。その浅い地中では、草木の、それぞれ系統の生存をかけた生命活動が繰り広げられている、と感じられます。都市ならば生産性のない荒地にしか見えないような風景でしょうか。<経済>の指標から見ると、ゼロにとどまる衰退、危機と感じられる光景とも言えるでしょう。すべてが沈黙の下に伏せているように見える、枯草の荒野を装い、冬の林は眠っています・・・。一体化する地表30