ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

AGIロンドン会議とKDS国際交流川畑明日佳|ビジュアルデザイン担当Asuka KawabataAGIとAGIロンドン会議について国際的なグラフィックデザイナーの団体として1952年に創立された国際グラフィック連盟(Alliance Graphique Internationale, or AGI)は「宗教、イデオロギー、民族、政治にとらわれず、中立の立場で相互の親交と尊敬をもとに向上的で有益な考えを交換するため、世界のトップデザイナーによって構成されている最もプレステージの高いグラフィックデザイナーによる団体」です。(元AGI日本代表の田中一光による解説/平凡社現代デザイン辞典)歴代会員には、カッサンドル、レイモン・サヴィニャック、ブルーノ・ムナーリ等々、グラフィックデザインの歴史を築きあげてきた錚々たるメンバーが名を連ね、各時代の最先端で活躍するデザイナーが加盟する団体として、今日までその伝統を受け継いできました。日本からも1955年の亀倉雄策、大智浩の入会以降、早川良雄、河野鷹思、粟津潔、田中一光、福田繁雄など、今は亡き日本を代表する巨匠たちが世界にその実力を認められ、次々と入会しました。現在の日本会員は27名。アメリカ、イギリス、スイス、ドイツ、フランスに次ぐ6番目の会員数です。(ギンザ・グラフィック・ギャラリー:ggg第314回企画展AGI展説明文より)2013年のAGI Congress(アジィ会議)はロンドンのバービカン・センターで開催されました。AGI会議は過去にイギリスの地方都市(バースとケンブリッジ)で開催されたことがありましたが、首都ロンドンでは初の開催ということで大変注目される会議となりました。デザイナーMarionDeucharsが「ロンドンでワールドカップが開かれるようなものだ。“Having the World Cup inLondon”」と言ったことからも、ロンドン会議の注目度の高さが伺われると思います。AGIの創立時にはグラフィックデザイン自体がまだ業界、職業として確立されておらず、AGI自体も「Gentlemen’s club」、つまりプライベートな「会員制クラブ」のような団体として始まりました。そのため、AGIは未だに世界的なトップデザイナーしか入会が許されない特別な団体であり、普通のデザイナーにとっては手の届かない存在ではあります。しかし近年では若いデザイナーや、幅広いバックグラウンドを持つデザイナー達にも門戸を開き始めました。会員だけに限られていた例年の会議も、2010年開催のポルトガルのポルトでの会議より「AGI Open」として学生を含む非会員にも開かれるようになりました。(「AGI Open」は会員だけが参加できる「AGI Gongress」とは別日程で2日間開催されています。)一方、欧米からの会員が未だ大半を占めているため、AGIの会議の中でも東南アジアや南米の会員数の少なさが議論になり、AGI自体の在り方も今後変化していくであろうことが感じられるロンドン会議となりました。2