ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

図4「青木克憲の制作プロセスの考え方」※公式HP写真より抜粋http://www.butterfly-stroke.com/写真5「長嶋りかこさんのLAFORETポスター」※公式HP写真より抜粋http://rikako-nagashima,com/テーションをしていただけた。会場は水戸芸術館ということもあり、広さゆえ鈴木氏の作品ほぼ全点というボリュームであった訳だが、全ての作品の原点は、「地球、あるいは全ての存在をどのように捉えるか?」の視点で、一つひとつの作品は鈴木氏の「仮説(アイデア)」→「実証(作品)」、この二つの関係による作品であるということ。その証明通りに感じるかどうかは我々観る側が判断すればいい。例えば、展覧会の主要イメージにもなっている「遊具の透視法」という作品(写真1)。公園にあるグローブジャングルで遊んでいる子供たちをビデオカメラで撮影して夜、同じ遊具へ投影したものだが、鈴木氏によると、グローブジャングルで遊んでいる子供たちを含めた影を見ていたら、グローブジャングルは地球儀の経線、緯線、赤道に見え、子供達の影は地球の大陸のように見え、それが回っていると「地球そのものなのではないのか」という偶然の“見立て”になったとのことである。ここで“偶然”という言葉を借りたが、常に知りたいという能動的な思考を普段から思っていないと気づけない。他にも、切り株形の容器の水面にしずくが落ちた波紋を年輪に見立てた作品。人間の時間感覚としてとらえられない木の成長も、時間のスケール感の違いさえ変えられるのではないかと仮説して実証した「バケツの真3)。この場合のりんごは常に地球の中心を指し続けている「万有引力とりんごの関係」を実証。このような明快な「見立て」は、観る側に一瞬で伝える力がある。「見立て」を気づくための普段の観察力と考え抜く重要性の大事さがいかに大きいかを知るように思う。いかがだっただろうか?以上を踏まえると、少なくとも創る行為は教える側と教えられる側の二方向ではなく、現状の仕組みを俯瞰し客観視しながらの仮説を立てる行為と、<1><2><3>をしなくてはならないことが分かる。最後に鈴木氏の発言で、「地球、または今皆さんのいる環境は本当に奇跡であることを再認識して欲しい。普段の分かっている、あたりまえの感覚をなんとか打破しなければいけない。たとえ物理学者の答えが世に言う真実だとしても、それは単に一つの方向だけであって、私の気づきや見立てによる作品は、別の視点で真実を知るキッカケです。気付きは本来、人の数だけあると思います。」という言葉には会場の誰もが共感しており、とても説得力があったのは間違いない。そう意識しまわりを見渡してみると、どんな人でも自身の気づきや見立てを探しているのではないだろうか。先にも述べたが、普段の観察力が大事なのだ。切り株」(写真2)や、けん玉は地球の引力を利用した遊びだと気づいて赤い玉をりんごの形にした、「見立て」で本質を語っている「りんごのけん玉」(写34