ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

エレメントデザインの可能性ースギムシの制作を通してー大松俊紀|スペースデザイン担当Toshiki Omatsu杉の神秘私は、家具等のエレメントデザインを制作する際、よく杉を使う。今でさえ、花粉で忌み嫌われる杉であるが、杉は日本人にとって一番親しみ深い建材の一つである。また数ある樹木のなかでも、最も神秘に満ちた木の一つでもある。杉は、その昔から日本において生息しており、名前の由来が「真直ぐ」の木「直木」から来ていると言われるほど、垂直に成長する(fig:1)。先史時代など、まだ神を祭る建築としての神殿がなかった頃、人々は、一本の杉を神が降臨する依り代として、崇めてきたのであった(fig:2)。日本における自然信仰の始まりでもある。今でこそ、それほど特別扱いされていない樹種であるが、本来はもっと神聖な樹種であったに違いない。(fig:1)京都の北山杉木は生き続ける今までにも杉を使ったエレメントデザインは制作しており、fig:3は数年前に製作したもので、三重県尾鷲産の「尾鷲杉」を低温乾燥した特殊な木材を使用している(fig:4)。木材の低温乾燥という一般的には馴染みのない言葉について、少し説明したいと思う。木材にとって、含有水分量は一番重要な問題でもある。何故なら、木は伐採された後も乾燥収縮を繰り返すので、水分(fig:2)伊勢神宮内の杉(fig:3)柱ツクエ、柱イスを多く含んだ木材は、大きな変形のもとになり、強(fig:4)低温乾燥した杉材62