ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

乾燥が行われてこなかったか?それは、低温乾燥には、乾燥にかなりの時間を要するからである。強制乾燥でも、上記の含有率に下げるには、1?2週間掛かる。低温乾燥は、木材の大きさにもよるが、一般的に2倍以上は掛かると言われる。それでも、昔は半年以上も掛けて、天然で乾燥(fig:9)していたことを思うと、科学の進歩のすごさと、その副作用を心配せずにはいられない。(fig:9)北山杉の天然乾燥杉を取り巻く現状今回製作したエレメントデザインは、より公共性をもったもので、駅前広場など不特定多数の人間が集まる場での使用を想定したものをご紹介する(fig:10)。何故今回も、杉を使用したかというと、以上に述べた杉という存在の、日本人への潜在的な親近感と、何よりもその優しい質感にある。杉は、日本人にとって最も身近な木材でありながら、その材質の柔らかさがゆえに、構造材や仕上げ材のような重要な部分には、あまり使用されてこなかった。家具の材料としては、表面に傷も付き易く、特に敬遠されてきた。しかし最近では、間伐材の問題などに単を発し、その価格の安さや暖かみのある質感から、フローリングなどを含め、再び杉材が注目されつつある。そういった杉をもっと身近にさせたいというのが、前回、愛工房という会社の協力のもと杉のエレメントを制作し展覧会(『新しい杉』展)を開いた理由であった(fig:11、12)。そして今回も、同じ理由で杉を採用した。(fig:10)想定された姫路駅前広場(fig:11)『新しい杉』展の様子杉の潜在(線材)能力を生かす杉は上でも述べたように、その直線的な力強さが魅力の一つである。であるから、私は杉を使用したエレメントを制作する際、できるだけ恣意的な形を(fig:12)『新しい杉』展の様子64