ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

本質は< A >であることには間違いない。しかも、可視化され、伝わるスピードが早くなるほど、優秀なデザインとも言える。デバイスを使用する人間の感覚的な制約は、画面上で「そのまま表示された1ビジュアル」か、「1スクロール程度で認識できる」レベルのスピードが求められている。それは、主語と述語を逆転しても実現したいレベルで、今の情報というのは、言語的構造から見ても、合理的なものに移行している。それによる無機質なイメージに抵抗感がある人は多いように思うが、それは別の話なので、ここでは控える。ただそれほど、1つの答え(のようなモノも含む)をとにかく早く知りたいという今の風潮や流れは止められない。とにかく、結論を早く知りたいのだ。その背景で何を勉強していくか、そして「その状況の視覚伝達の基礎」とは何か?それらを考慮していくと、浮かび上がってくる答えは、やはり< A >を徹底的に意識することなのだ。それも踏まえて、< A >の定着への実例を見せていきたい。< A >の目的が意識できるように前述で意図を述べてきたので、< A >を意識する研究と成果を交えながら紹介していきたい。現在昼間部2年生前期に「身の回りに自分が本当に美しいと再発見したモノを選び、ビジュアル一枚でその魅力を表現しなさい」ということをおこなっている。これは昔、桑沢デザイン研究所の非常勤講師で田中一光先生がだしていた課題で、翌週までに「自分が心底美しいと再発見したモノを持ってきなさい」というものを発展させたものである。その当時の学生も“美しいものは、決して高価なものだけではなく、じつは身近にあるものなんだ”というメッセージを課題から受け取れたらしい。これは最もで、美しいモノや感動するものは実は近くにあり、見過ごしているものの可能性が高い。それをどの視点で演出し、魅了するビジュアルに変換(可視化)することがビジュアルデザインの真髄である。それをベースにしながら、さらにもう一つの条件、「\1,000以内で購入できるもの」と付け加え、実験的に試みをおこなった。学生も含めて、デザイン教育を一年間しか受けていないほとんどの人がこのことを伝えると、美しいものは“美術館”や“高級店のショーケース”にあるものだと思ってしまっていて、身の回りにあるものを見つけられないまま、とまどうケースが実に多い。ここで“身の回りの発見”を心がけてもらうと、新たな視点で世の中のものを再発見する意識ですべてのものを見る意識になるので、この時点でビジュアルデザインの本質の理解につながるケースが多いと感じる。それを理解した上で寄せられたモ33