ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

ページ
50/68

このページは 桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015 の電子ブックに掲載されている50ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

インドネシア発ソーシャルデザインワークショップ「SPEDAGI」2016年日本へ本田圭吾|プロダクトデザイン担当Keigo Honda「SPEDAGI(スペダギ)」は竹の自転車に乗って地域の問題を発見し、その解決にデザインで取り組んでいく、ソーシャルワークショップです。「朝の自転車散歩」を意味するインドネシア語speda(自転車)+ dagi(朝)による造語です。1:「SPEDAGI」プロジェクトの取り組みSinggih Kartono(シンギー・カルトノ)氏とSPEDAGIプロジェクトプロジェクトを提唱するのはインドネシアピランティワークス社代表Singgih Kartono(シンギ-・カルトノ)氏です。バンドン工科大学でデザインを学び、ジャカルタでデザイナーとしての経歴を持つSinggih氏は「未来の衝撃原題:Future Shock(アルビン・トフラー)」の一節に出会い、分散型経済社会の到来を確信して起業を決意。故郷のカンダンガン村に帰り、同社を設立します。村内で調達可能なリソースで国際市場で戦える製品を作ろうと木製ステーショナリーの企画製造を開始、そして世界中のデザイン賞を獲得することになる木のラジオ「magno」を発表します。http://www.magno-design.com/http://the-amber.jp/magno/村の自立と振興のためにその効果を村のコミュニティーに還元するという初心に従い、「magno」の製品は、当初から現在に至るまで全て地域の森で計画伐採された木材を使用し、伐採した木以上の苗木の育成や植林が社員の手によって行われています。自転車で村を巡るのが朝の日課であるSinggih氏は、そのうちに村に幾つもの問題が潜んでいる事に気づき始めます。急速に近代化してゆく村の暮らし方に持続性がない事、物質的な豊かさに気を取られ資源の浪費が村の荒廃と破綻に向かっているのではないかと危機意識を持つようになります。本来なら自給自足で暮らせる豊かな村であるはずなのに、田畑が消え、竹林が伐採されて行く。さらに村から若い世代がどんどんと都市へ移住していくというのは、まさに村の頭脳の流出に他ならず、若者にも魅力となる産業の育成が急務だと考えるようになります。あらためて村のリソースが何であるのかを見直す中で、Singgih氏は「竹」に可能性を見出します。しかし、インドネシアでは一般的には竹林は貧困の象徴のように扱われている厄介な存在です。まずは、竹が資源として高い可能性を秘めている事を見える形で示していく必要がありました。また、世界経済のスピードに合わせすぎず、村の持続可能性を大切にしつつ暮らし方全体を整えていく在り方を示す事も新たな目標になります。magno事業の傍ら、自転車で村を巡る中で生まれた課題に取り組むために、まずは自転車を竹で作ってみようと試行錯誤が始まります。そしてそれ自体が一つの産業になると確信に変わります。村に自生する竹を活用してセクシーなバンブーバイク48