ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

(fig.32)先史時代~近世までの民家における平面上の柱の変遷ぶ人間の強靭な生命力を昇華していくと、天上の神の存在に近づくことを意識するのであろう。神の円柱に近づきたくとも、敢えて大黒柱を八角柱としているとしか思えない。築が小屋組と軸組に分かれていく過程は、柱の存在を決定的に変えいくのであった。つまり、棟まで達する棟持柱が持つ象徴性は切り刻まれ解体され、“象徴”の意味さえも解体、変容されていくのであった。まとめ近世に向けて柱がどんどんと細くなって行く社寺建築と逆行するかのように、民家では柱がどんどんと太くなっていくことは非常に興味深い。つまり、空間から象徴的事物が消去されていく社寺に対して、民家という個人の空間においては、象徴的事物を欲していくのである。また、社寺と民家の柱を概観すると、社寺では、特に神や仏との関係で円柱が使用され、民家では、古代の竪穴式住居などの雑木の柱を除き、角柱や角柱を指向した柱が使われている点も興味深い。近世までは、いつの時代も円柱は神の象徴であったのだろうか?一本の柱の象徴性を徐々に脱象徴化していった古代、そして中世を経て、近世初頭の「四つ建て」のように、中心となる空間自体を象徴化するようになる。そして再び、大黒柱として一本の柱の象徴性を求めるようになっていく。そう、住まいにおいては、柱の象徴化と脱象徴化を反復しているのであった(fig.32)。また、中世に入り、それまで一体構造であった建(参考文献リスト)「日本の民家1~4農家」(学習研究社)「日本名建築写真選集17民家Ⅱ農家」解説宮沢智士(新潮社)「美しい日本の民家」川島宙次(ぎょうせい)「万有ガイドシリーズ30日本の民家」(小学館)「日本民家園物語」古江亮仁(株式会社多摩川新聞社)「復原日本大観5古代住居と古墳」編集責任者:坪井清足(世界文化社)「復原日本大観6民家と町並み」編集責任者:稲垣栄三(世界文化社)「建築学の基礎6日本建築史」後藤治(共立出版株式会社)「日本建築様式史」監修=太田博太郎+藤井恵介(美術出版社)「図説日本建築年表」太田博太郎監修日本建築年表編集委員会編著(彰国社)「日本の建築空間」2005年11月臨時増刊号(新建築社)「古代の立柱祭祀」植田文雄(学生社)「建築をとおしてみた日本」http://sumai.org/asia/refer/sgkn9210.htm63