ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

37果は目に見える結果として残すことができる。よりよいイメージをつけたいモノ、コトはこの考え方を持つことを勧めたい。よりよいイメージを獲得するには 作品を観た人にいいイメージを抱いてもらうためには、元からいいイメージを獲得しているものに基づいてスタートすると良い。これは人が「感動する仕組み」の考察でも伝えていきたい事項であるが、人が新たなものに対してに理解できる要因は、「元から理解しているものから発展していったもので新たなものは、理解できる」方法がある。これまで全く知らなかった知識の外から説明を受けても、理解できない場合が多い。それは自身の専門外の分野の説明を突然聴いても分からないことと同義である。世の中のモノや現象をすべてカテゴリー別にし、自身が一つひとつのジャンルでどれくらいの知識と認識があるかどうかの差は人によるが、通常の世の中の人がどのくらいのレベルであるかの常識的な範囲を想定し、その一段階上あたりの価値観で新たな創作を生み出せば、“ 新しい” という感じが滲み出る。そしてそのイメージの発端は、「人は元々持っているイメージに引っ張られる」ということを着目する必要がある。 その「一度ついたイメージ」は根深い。モチーフにどんないいビジュアル表現を演出で載せても、元々持っている「一度ついたイメージ」を消し去るのは難しい。それだけイメージは、そのモチーフの歴史の分だけイメージが育てられていると言ってよい。なので、良いイメージのビジュアルポスターを作成する時は、モチーフ選びが非常に重要な要素だということが分かる。一見あたりまえのようだが、自主制作で何のモチーフを選択しようかと言う場合、ココをおろそかにするケースが多いため、注意しておきたい。さらにいえば、そのいいイメージのモチーフが「どのような状態で」「どのような配置で」「どのような光の中で」存在するのがいいのかのシーンまで設定しておく必要がある。逆にそこまで慎重に配慮して進むことができたら、あとはモチーフにいい表情を纏わせる行程をおこなえばよい。この図式のようなものをキチンと理解できた学生はかなりの高い確立で素晴らしい作品を完成することができる。また、これまでの説明を理解するのは“ 才能”とは別の要素であるから、理解されればどんな人にも教育成果が約束される。つまりやみくもではなく“ 具体的な努力” なのだ。その道筋を提示し、具体的な努力で進行することを伝達していく。教育の共通認識を持ち、どんな大人数でもキチンとした理解をされるかが、現在の教育では必須ということが分かる。特にデザインや表現の勉強は、教える側の感覚的なサジ加減ではおこなってはならない。その理解の次に、感動の仕組みを理解していく。感動をコントロールするには、ビジュアル表現だけを見つめていても解決されない要素が多々あるからである。