ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

2大松 俊紀 | スペースデザイン担当Toshiki Omatsu 今回は、東北地方の民家の中でも、旧奈良家住宅(秋田市)(fig-1)の見学レポートを元に、住空間のあり方について再考したいと思う。 民家というと、平面(間取り)が単純な長方形の民家を想像しやすいが、実は古くから多種多様な平面の形をしており、単純な長方形の民家(専門用語では「直屋」(すごや)と呼ぶ)ばかりではなかったことが歴史的にも分かっている。 現存する民家で最古のものは、神戸市にある箱木家住宅(fig-2)で15 世紀のものと言われ、東北の民家となると、古いものでも17 世紀前半くらいのものしか現存していない。民家という性格上、一般的に修復歴の多い民家が多く、現存しているものも幾度となく改築や増築を繰り返していることが多い。民家の様々な歴史的経緯はまだまだ謎に包まれているのが実情である。旧奈良家(住宅)の歴史的背景 今回主に紹介する旧奈良家は、秋田県立博物館の資料によると、元々弘治年間(1555 ?1558)に大和国(現在の奈良県)の生駒山麓小泉村から、現在の潟上市昭和豊川に移住し、江戸時代初期には約10km 南にある現在の地(秋田市金足大字小泉字上前8)に移ってきたと伝えられている(fig-3)。民家研究ー 東北地方の民家に新しい住宅の形式を求めて ーfig-2_ 箱木家住宅(神戸市北区)fig-3_ 旧奈良家住宅の所在地fig-1_ 旧奈良家住宅