ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

41メントとして切り分け、それをモデルに着実に反映させる手法をとっていることである。例えば、野生だから獣に毛皮をモデルにかぶせるということは一般的なアイデアだが、その毛皮のセレクトと光の表情づくりが素晴らしい。波打つようにギラギラ光る毛皮の光沢が野生さと女性の貪欲さを同時に表し、補色に近い背景色とのコントラストでモデルの迫力を全面に出して、目に飛び込んでくる。このビジュアルにはこのギラついた光がふさわしい。この意図を言葉で伝達してもなかなか伝わらないが、ビジュアルなら一瞬でこの迫力を伝達できる。そんなビジュアルの特性を証明した秀逸な作品である。イメージを言語化していくこと ここまで、素晴らしいイメージポスターの作例で、感動の仕組みと光や表情づくりの関係を紹介した。また、そのアイデアの発想法と具体的な制作レシピの考え方も。最後にまとめるが、やはり重要な点は、「イメージビジュアルの要素を言語化し、理解しながら進んでいく」ことである。生まれもっての才能のある人間を対象とし、評価するやり方は今後の教育にはそぐわない。(無意識でそうなっている授業も多いことだろう)そこで“ 具体的な指導のある教育または教育レシピ” が存在することをここに提示し、広めていきたい。イメージビジュアルは、その本人にしか舞い降りない場合も多々あるが、それの定着の実現のためには、具体的な言葉によるアドバイスと具体的な光の作り方などの技術的指導が必要不可欠である。そしてそれらを指導する教員の知識と実験のトライ&エラーの積み重ねも同時進行として必須である。教育過程のどこの行程も無駄無く理解され、教育のクオリティをあげていくことが、結果として学生作品のクオリティの底上げにつながる。教員の洞察力の訓練や技術の向上、そのための時間の余裕と予算が学生指導に直結している点もあげておきたい。その証拠に年々、学生作品のクオリティが目に見えて上昇している点も注目してほしい。今後もさらに発見したことを言語化し広めていく。作品E