ごあいさつ - Introduction

この作品展示会は本校の卒業年次にあたる昼間部 総合デザイン科3年、夜間部 デザイン専攻科2年、また基礎造形専攻の作品が展示されています。

私は最近、デザインとは「明日を生き延びるための人間の知恵」と思っています。スペイン北部、世界最古の洞窟壁画にアルタミラ洞窟壁画があります。この旧石器時代に描かれた『ウシ』や『イノシシ』の絵を、人類の祖先は何のために描いたのでしょうか。
それは、獲物を捕るためのイメージスケッチだったのではないでしょうか。夜、寝る前に絵を見ながら、イメージを膨らませる。明日という未来を生きる知恵、それが芸術デザインの原点ではないかと思うのです。

今の私たちに、アルタミラのような洞窟はありませんが、都市に林立するビルの谷間や駅の構内に、多くの壁面があります。そこには生き残りをかけたデザインが展開されています。商品や空間のデザインも同様です。
世界中を見渡せば、その実例は何億あるかわからない。一人ひとりのデザイナーが、アルタミラの洞窟壁画さながら、「未来を生きる知恵」を展開しているとしたら、デザインは人類の根源と深く関わり、人類の未来を背負い、人類全体をつなぐ、すばらしい仕事だと思います。

この展示会は学生達が「未来を生きる知恵」を深く思案し、表現をした作品群だと考えています。

もし、みなさまがここから、私たちの「明日を生き延びるための人間の知恵」を感知することができるならば、彼らの今後のデザイン活動に大きな期待を見い出せるものと私は信じております。

ぜひご来場の上、ご意見ご感想などいただければ幸いです

所長浅葉克己

  • 桑沢2013 エントランス
  • 桑沢2013 受付