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イラストレーター ZUCKさん

本記事は、高校生向け新聞である「進路新聞」を発行している大学新聞社が本校卒業生のZUCK氏をインタビューした内容を掲載しています。

「イラストレーター」とは、クライアントからイラスト制作の依頼を受け、趣旨に合ったイラストを制作して提供する仕事です。自分の描きたいものを描く「アーティスト」とは異なり、依頼主であるクライアントの要望を汲み取りつつ、自身の柔軟な想像力、クリエイティビティを発揮することで、イラストを通してクライアントの想いを形にする役割を担っています。現在、フリーランスのイラストレーターとして多方面で活躍するZUCKさんに、お仕事内容や心構えなどについてうかがいました。

日常生活の中で多方面にアンテナを張って創作活動に結びつける

―― お仕事の内容について教えてください。

絵を描くことが主な仕事ですが、だからといって、自分の好きなように描くことができるとは限りません。仕事の依頼主であるクライアントから、雑誌や広告に載せるために「このようなイラストを描いて欲しい」という依頼をいただくところから始まります。その後、打ち合わせをしたり、提出したラフ案にレスポンスをもらったりしながらイラストを仕上げていきます。
例えば、最近だと、時期的にクリスマス関連のご依頼をいただいたり、自主制作で描いたりしています。

―― お仕事をする中で心がけていることを教えてください。

イラストレーターの仕事を、作家というよりは商業的な捉え方をしています。ポップで楽しい見た目や雰囲気のイラストを描くことで、さまざまな切り口からイラストを見てもらえるようにしています。よく見て探っていくと、おもしろい部分が発見できるようなイラストを描くことを心がけています。
また、日常生活の中で「これを描いたらおもしろいかもしれない」と、自然とアンテナを張って過ごしています。

『POPEYE』雑誌内扉絵



―― やりがいを感じる場面やエピソードをご披露ください。

知名度のある『ひよこクラブ』という雑誌の付録「親子で遊べるカレンダー」のイラストのご依頼をいただいたことがありました。専門家の監修に基づき、赤ちゃんが見たら喜ぶ「目玉」「ぐるぐる」「派手な色使い」などの要素を盛り込んで制作しました。
当時、仕事の反響をそれほどいただくことがあまりなかった中で、「子どもが見ると笑顔になります」「今年の付録には参加されないんでしょうか」といったメッセージを頂戴して、とても嬉しく思った記憶があります。それだけではなく、最近も「発売当時からカレンダーを飾っていて、その後に生まれた下の子もイラストを見て喜んでいます」と言っていただく機会がありました。子どものリアクションには嘘がありませんので、こういった感想をいただいてとても感動しましたし、やりがいを感じることができたエピソードの一つです。

『ひよこクラブ』付録「親子で遊べるカレンダー」



―― イラストレーターを目指したきっかけを教えてください。

幼い頃から絵を描くことがとても好きで、高校では美術部に所属していました。卒業後の進路を考えた時、イラストやビジュアルに関わる仕事に就くのであればデザインを学びたいと考え、地元のデザイン系の専門学校に一年間通いましたが、なにか足りないような気がして。当時、姉が勤めていたデザイン事務所の方が桑沢デザイン研究所の卒業生で、その勧めを受けて再進学を果たしました。
桑沢デザインの卒業後は、出版社で編集や広告のデザインなどのアルバイトを経て、その後フリーのデザイナーとしてやっていきましたが次第にイラストのほうが自分のやりたいことに合っているかもしれないと思い、イラスト塾であるパレットクラブスクール(東京都中央区)に通い始めました。デザインについて学んでからイラストレーターになったという流れは個性というか、現在の画風につながったのだと思います。

―― 「イラストレーターに向いている人」とはどのような人でしょうか。

サービス精神や提案力がある人は、向いていると思います。「こうしたらクライアントも喜んでくれるかもしれない」と、依頼内容にプラスアルファの要素を足すことができると、より良い作品づくりにつながるのではないでしょうか。

―― このお仕事に就くために必要な心構えを教えてください。

フリーランスという形態の仕事は、「楽観的」であったり、ある種の「不真面目さ」があったりすることが大事だと思います。一人で考え込むよりも、「なんとかなるかもしれない」という気持ちで臨むほうが、自由にイラストを描くことができるのでしょう。
クライアントの指示にとらわれ過ぎてしまうと、想像の範疇を越えることができない。枠から外れてノビノビやってみようという姿勢が大事だと思います。

―― 令和6年度の桑沢デザイン研究所のイメージポスターを担当されたとうかがいました。

入学時に「平面構成」と呼ばれる色の構成を問う試験があり、それに近い画風になっていると思います。クールなイメージを抱いていたので、あまり感情を入れ過ぎないように、一方で赤色や馬の目を入れることで秘めた情熱も感じられるようなものを意識して仕上げました。

令和6年度の桑沢デザイン研究所のイメージポスター 令和6年度の桑沢デザイン研究所の冬季DM
―― 進路を模索する高校生にメッセージをお願いします。

興味や関心のあることに対して、臆せず行動したり実践してみたりすることは、若い時にしかできません。イラストレーターに対して、「その人自身がつまらなかったらおもしろい作品にはならない」と言われることもありますが、なるほど、それはその通りかもしれません。多角的・多面的に物事を捉えるためにも、さまざまな作品・モノ・コトに出合うことが大事だと思います。

インタビュアー:『進路新聞』第64号掲載
記事提供:大学新聞社
画像提供:ZUCK氏
<令和6年10月発行>


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