「構成」の方法について(2)
田中 淳
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III.プロセスの考え方へ

 構成という事象はデザイン活動の中で、多くの過程processからなり立っている。

 一般的にいえば、すべての事象は、因果律の適用をうけ、過程の重複の中に存在しており、デザインもその例外ではない、といえるのであろう。帰結されたかに見える事象も、次の事象を導き出す因子であるという意味で、サイクル過程の一位置を占めるにすぎないともいえる。

 ヘーゲルがいったと伝えられる“正しく考えるとは、きずをつけて後でこれを癒すことだ”ということばを見ても、人間が事象連鎖のある部分にきりこむことから、考える、対象にぶつかる、方法をつくり出す─という原初的な文化行動が起ってくる。

 われわれが「構成」を考える場合も、勿論まさにのこ“きりこむ行為”に初まる過程を、われわれがたどりはじめることであり、このプロセス自体が、方法としてのあり方をもっているか、どうかをことこまかく検討することを意味している。

 概括として、「構成」の方法を問題とし初めに私は、なお具体的な事例を通じて、モノを処理する技術として、人間からの働きかけのあらわれを、どうしてもモノの上に定着することが必要だ、としたいとおもう。そしてこうした具体的事例を提起することこそ、私にとって、最も大切な仕事である。

 私に許される次の機会に、正方形の二等分、等積な地と形─という主題を掲げ、構成の事例研究Case Studyという形式をととのえ内容的な展開を試みたい。
─1966年2月─

(注2) 岩波講座「現代教育学」第8巻P.210青年期の美術教育/大勝恵一郎(1960)
ならびに同氏による国際美術教育会議INSEA東京大会(1965)研究発表


図1から16までは、正方形の二等分/等積な地と形という同一課題に対する、学生作品の一部である。

学生作品



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