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桑沢デザイン研究所教員研修会レポート2012

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桑沢デザイン研究所教員研修会レポート2012

「展覧会の本質と教育のデザイン」―川俣忠久ゼミプロジェクト「Shibaura House School(シバウラハウス小学校)」―辻原賢一|ビジュアルデザイン担当「展覧会」の本質を考える現在の世の中、情報発信者は何を発信していけばいいのだろうか?特にその会が商業目的に直接つながらない場合、テーマや目的を決定していく過程が、観る側の気持ちや世の中の空気をリアルに把握すると、相当難しいことが事実である。それほど世の中の先行きの不安が浸透している。実際に2013年現在の日本の借金は、約1,000兆円かかえており、このまま何も手をうたない限り、数年後の財政破綻も非現実ではない。その空気感、ミクロ的な視点でも人々の発言から意識として表れているし、就職の意識でも「どんな自分になりたいか?」「何をしていきたいか?」から「何をすれば安心か?」という返答は、ニュースの統計でも“公務員”が人気ということから見ても、現在の人々の考え方としてすっかり浸透している。このことに関して私の考えは述べないが、「安心」と「夢・冒険」が人それぞれの基準でいつでも天秤にかけられている場面を多く見るのは間違いないだろう。デザインの世界は一般的には「夢・冒険」寄りの職業だと思われていることが多いのかもしれないが、実際華やかな場面の方はそれほど多くない。(何をもって華やかかは謎であるが)でもこれは、どの職業にも当てはまると思うし、クリエイティブの仕事でお金に変換できる成果物の内容がものすごいスピードで変容している。わかりやすく言えば、バブル以前のデザインは商品に対して素敵な絵柄を纏えば成立する場面が多かったことから、その商品自体がそもそも人にとって本当に必要なものなのか?または商品以前に今の状況を考えて、本当に必要なものは何なのかまで遡って企業の抱えている悩みをコンサルティングしながら、新たな仕事を産み出し、その流れの中に派生したデザインを担当するところからスタートしなければ、実際に仕事がない。つまり受注されない。このことをどのように捉えるか、「大変」だと捉えるか「いろんな仕事・体験ができるので面白い」と捉えるかでその人の今後の行動を大きく左右する。だがそもそもを考えると、「人が本当に必要なモノ・コトを考える。そしてそれをデザインする」のは当たり前のことであり、とてもまっとうだ。バブルのいらないものの大量生産自体が狂気じみていただけだ。お金がないということは、無駄なことはできない、本当の価値を探すキッカケにもなる。随分前置きが長くなってしまったが、そんな状況を理解しての展覧会。何を発信していくか、川俣忠久先生と私とゼミ生の間で熟考していった。今回の方針以上のことを踏まえると、「現在の世の中の状況、雰囲気に余儀なく影響を受けてしまっている人に対して、考え方・新しい価値観を提供したい」というのが自然な流れとなった。そのターゲットは小学生である。「将来の夢は?」という質問に対して、「公務員。」という子供の返答はもちろん悪いわけではないが、着目点はその考えが本人が本当に自らの意思なのかが疑問が残る。その原因としてメディアの責任も重い。そして教28