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桑沢デザイン研究所教員研修会レポート2012

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桑沢デザイン研究所教員研修会レポート2012

2011年3月11日(金)この日は研究日で午後から自宅で臨書をしていた。午後2時46分、揺れが始まった。長い!経験したことのない揺れだ!台所でモノが落ちる音がする。家のきしむ音がする。部屋から見える空に鳥が舞い、屋根や木々のホコリが空を漂う。慌ててテレビをつけるとアナウンサーが浮ついた声で東北地方で地震が起こったことを伝えている。東日本大震災だ。次々に入るニュース。今、大変なことが起きている。臨書はとりやめ、ニュースに釘付けになった。この日に1万5000人を超える人が亡くなった。心から冥福を祈りたい。平成23年度の浅葉ゼミの学生。少人数でまとまりがあって、とてもよいメンバーだった。前列右が浅葉ゼミの書道を指導されている高根先生、左が筆者。2011年3月30日(水)<浅葉ゼミ「草桶未来」への手紙>卒業、おめでとうとう。数百年、いや千年に一度という震災の影響で卒業式が中止になってしまいましたね。1万人を超えるといわれる犠牲者。あの日の午後にみんな亡くなってしまったのですね。残された家族、友達、恋人を考えると心が痛くなります。卒業式は小さなことですよ。もちろん、君にとっては大切な学生時代の最夏の新潟書道合宿。浅葉先生の揮毫を興味深げに見る学生達。後の卒業式でしたね。デザインの力で社会に何が出来るのか。いや、デザインでなくとも自分は社会に何が出来るのか。いや、社会でなくとも家族やもっとそばにいる人たちに何が出来るのか。いや、何も出来なくても、自分がどう生きていくのか。この問いは鋭く胸に突き刺さります。ボランティアで被災地に行くことも、また、行けなくとも日々の仕事や暮らしの中で自分に何が出来るのかを問われます。多くの人の死や悲しみを見るとこれが現実なのかと心が狼狽します。だからこそ、日々、しっかりと、有意義に、生きて行くことが自分に問われるのでしょうね。こんなに強い問いの中で卒業を迎えることは逆に意義深いことです。千年に一度の卒業式ですよ。卒業おめでとう。51