ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

ページ
50/72

このページは 桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013 の電子ブックに掲載されている50ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

基礎造形課題作品の展示小関潤|造形担当Jun Koseki2013年度、基礎造形の授業の課題作品が「東京デザイナーズウィーク2013」、マイアミでの「LUMINAIRE ? DESIGN+WORLD 2013」、本校での「基礎造形作品展」において展示された。このレポートではこれら展示会について報告する。「東京デザイナーズウィーク2013」2013年10月26日から11月4日まで、明治神宮外苑において「東京デザイナーズウィーク2013」が開催された。この展示会は建築やインテリア、プロダクト、グラフィックなど優れたデザインとアートが世界中から集まり、約11万人の来場者が訪れる国際的なクリエイティブイベントである。本校はそのコンテンツのひとつである「ASIA AWARDS ?学校作品展」に学生自治会を主体として参加した。展示全体の計画及び実施は学生自治会会長の野間伸哉君と学生活動委員会委員長である辻原賢一先生を中心におこなった。出展作品は総合デザイン科1年次の授業「基礎造形(構成・立体)」の課題である「ハンドスカルプチャー」と「立方体の二等分割」が選ばれ、その授業担当者として展示計画及び展示作業などに携わった。「ASIA AWARDS ?学校作品展」では国内外54校64チームが参加し、それぞれのチームがこの作品展に向けて制作した作品を展示し、会期中は学生たちが来場者へ熱心にプレゼンテーションをおこなっていた。本校は課題作品の出展であったが、造り出された形の多様性と手仕事による作品の完成度の高さが来場者の目を引き、ブースには多くの人が訪れた。また、参加体験型の作品やコンセプトを重視した作品の出展が大多数を占める中、本校が「造形」?形や、形が生み出される過程、発想方法?をテーマとしたことも評価に繋がったのだろう。特に海外からの出展者、来場者から多くの賞賛の声を頂いた。エントリーしたTHE SCHOOL OF ASIA部門の審査では、デザイナーや出展関係者などによる投票で最終審査に残り、特別審査員へのプレゼンテーションの結果、2社から企業賞を頂くこともできた。また、美術やデザイン、建築の教育関係者からは課題の趣旨や指導の方法について質問が寄せられた。これらの課題はデザインやアートの基礎教育として古くからおこなわれてきたものであるが、初めて見たという人が多かった。これは基礎教育の授業や専門の教員が少なくなってきていることの現れであろう。同様に、高校までの教育では美術や技術の授業が減少し、受験生が美術予備校に通う割合や期間も減少したことで、学生の基礎的な造形能力は低下している。そのため、どの学校でも基礎教育の必要性を感じ、教育方法を模索している様子が見てとれた。今回の展示は、デザインにおける「造形」の魅力や重要性、また本校の教育の特徴である基礎造形教育の意義を示す貴重な機会となった。また、学生たちにとっても、自分の作品に自信を持ち、基礎造形への理解を深める機会となったようだ。それが最大の成果である。48