ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2013

製作図面工場での製作の様子単に機能的なスタッキングチェアは、今までにも大量にデザインされていることから、やはり最後の要点が重要になってくる。それは、椅子というものの根本的な在り方を見直すことでもある。椅子は、いつも人が座っているとは限らない。人が座っていない状態の方が多いのである。その時でも、何か空間に人の気配を感じさせる椅子。それは、直接的な人の気配ではなく、抽象的に擬人化、または生物化した椅子とでも言おうか。ギリギリまで椅子としての余分な要素を削ぎ落すことが、最終的には、椅子を四本脚の生物にさせた。前脚二本が開くことで、人のような抽象的な生物さを見せているが、このように前脚を一点で座面に支える構造は意外に難しく、脚と座面は1.6mm厚のスチールパイプで製作することになった。一体的に溶接すると構造としても安定し、さらに薄いスチールの使用もでき、製作も安易である。だが、脚、座面、背もたれを別々の色にするために、この厚みを持ってそれぞれを別パーツで製作し、粉体塗装後、ボルトで固定する構造となった。背もたれのリングは、その形状から無垢のスチールで製作している。また、座面は主に人に触れる部分であるから、積層合板とした。まだ全体としての重量は少し重く、更なる軽量化のため改良中である。59