ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

3月18日ファインディングワークショップ「SPEDAGI(スペダギ)」1日目午前:バンブーバイクで村を巡る「SPEDAGI」ツアーは、村で伐採加工された竹材をフレームに組んだ自転車で村の活動を見ながら、そこにある問題とその解決方法を探るファインディングワークショップだ。今回は村の普段の生活とこれまでのSinggih氏によるソリューションの事例を訪ねる体験ツアーとなっている。約5年ほど前、故郷の水田が切売りされて宅地化するのを黙って見ていられなかった氏は、融資を受けて自らその土地を購入して、オーガニック栽培をレクチャーする農業事業をスタートさせた。農業のバリューを高めて、農家の自立と風景の保全を両立する事業の開発に力を注いでいる。Singgih氏によれば、まだやるべきことの10%も始まっていないとのことだが、地元の理解を得て着実に計画は進んでいるようだ。「ツリーハウス併設のコーヒー豆農園は今年始まったばかり。図書館も造りたい。カンファレンスルームに滞在用ハウスも増やしたい。」と氏。村を巻き込んだプロジェクトのビジョンは2035年にフォーカスされている。午後:村内の竹林を切り開いて仮設されたメイン会場「BambooForest」で今回のプロジェクトに携わったメンバーによるプレゼンテーション、そしてグループディスカッション。建築家の一人は、このプロジェクトは決して観光の為の開発ではなく、村の生活を未来に向けて自らの手でデザインするためのエデュケーションプログラムであると強く語っていた。実現には、地域住民の協力だけでなく、行政の協調も重要だ。これらを一つずつ具現化させるSinggih氏の原動力は、彼の強い故郷愛なのだろう。「BambooBike」プロジェクトSinggih氏が考案したバンブーバイク(自転車)のフレームは、もちろんほぼ竹でできている。竹はファクトリーの周囲1時間圏内で十分に調達でき、また村の普段の生活にも溶け込んでいるローカルな素材だ。クオリティだけで見れば、もっと良いバンブーバイクは既に世界中にたくさんある。でも地元の材料で作られた自転車に乗って村を巡るツーリストを村人たちは笑顔で迎えてくれる。「SPEDAGI」の狙いはそこであり、この「BambooBike」の存在が欠かせない。見慣れた使い慣れた材料でも、もっと洗練したプロダクトを生み出せる。そして、それが磁石の様に人と地域をくっつける。そこから新しいライフスタイルに導けるはず。迎えてくれた村は経済的には恵まれていないが、「SPEDAGI」と「BambooBike」がきっと変化をもたらすだろう。突然押し寄せた外国人を家の中まで招き入れてくれる家族やたくさんの子供たちの笑顔に出会って、い40