ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

インドネシアもまた押し寄せる近代化に曝され、村の建築も急激に建て替えが進んでいる。村をひとつの大きなファミリーと捉え、また自然に寄り添う暮らし方とそれを可能とする建築を、地域の価値や素材と技術を取り込むプロセスとして提案し続けている。Praveen Nahar氏インド:NID(国立デザイン大学院)教授Design learning from villages村の再活性化のために、デザインに何ができるか?それは村から学べ、と氏。インドでの活動事例を報告。村々を周るフィールドワークからリソースを掘り出して、それぞれの状況にあったプロジェクトを考える経験こそ、重要な学びの場となる、と説いた。奥谷京子氏日本:WWB(女性のための世界銀行)ジャパン代表フローレス島におけるカカオ生産の取り組みについて世界第三位の生産量ながら、その事実が知られていないのはなぜか?実は農家のだれもこれまでカカオを口にしたことがなかったため、品質に対して意識が低く、産地非表示の低価格な材料用カカオとして流通しているのだという。日本の女性起業支援グループの協力を仰ぎ、農家にココアを使った美味しい料理を食べてもらい、そのレシピを伝える事から始める。カカオをいわゆる六次産業に昇華させ、地域農家の経済的自立を促すプロジェクトを紹介した。Iskandar Waworuntu氏インドネシア:Bumi Langit Permacultureオーナージャワでパーマカルチャーコミュニティを主宰する氏。ベースにはイスラムの教えが強く影響しているという。良い食べ物が、良い体と心、そこから始まる全てを良くする。全てとは、暮らし方や働き方も含む生き方そのもの。しかし、本当に良いモノを選ぶことが困難な、現代。まずは、やめることから始めるしかないと訴える。加工品やインスタント食品から手を引いたところ、自身には結果的にパーマカルチャーが残ったに過ぎないのだという。食べ物以外にも、生活を支える様々なプロダクトも必要だが、可能な限り長く使う配慮とそれに耐えうるモノを選ぶべき、とも。行き過ぎた消費社会に対するジハード(聖戦)だと語った。Klaus Peter Berkemeyer氏ドイツ:GIZ(国際協力公社)都市と農村は、いつの時代も繋がっていた。インターネットなどテレコミュニケーションが進んだ現代では、依存型とは異なった、お互いが独立性を保った繋がり方を構築できるのではないか?と問う。ドイツに於ける戦後の村の開発で、当時から今に続いて何が起こったのかを示しながら、サステナブルな村の未来への提言をする。時代の変化の中では作ったり壊したりするより、むしろ残すべきものを見誤らないことの重要性を説く。特にその土地の記憶を宿すものこそ、未来に繋げ遺すべきだろうと訴えた。益田文和氏日本:ICDS代表東京造形大学教授都市を離れ、村に移る理由自身のオフィスであるオープンハウスは東京から山口の村に移転した。エコデザインの発展が我々の未来の生活を担保するものと考えてきたが、成功すればするほど消費型社会が大きくなるジレンマを抱えてしまった。人々のニーズに応えるというこれまでのデザインでは不十分だと気づき、これを見える形で示す必要性を感じた。サステナブルデザイン国際会議を始めた理由の一つである。しかし2011年のある日(3.11東日本大震災を指す)、全てが壊れて初めて自分たちが44