ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2014

度的に建材として使用することができない(fig:5)。一般的に、山に生えている木は、その中に水分を豊富に含んでおり、杉や桧の場合、木自体の重量の1.5倍の水分を含んでいると言われている。つまり、含水率は150%である。一般的に含水率が15 ? 18%になると、変形収縮はなくなると言われており、木材の品質基準でもあるJASでは、含水率18% ~20%を乾燥材の規格としている。木材は杉に限らず、通常は100度近い高温の窯で急激に乾燥させることが多い(fig:6)(これを「人工乾燥」や「強制乾燥」とも呼ぶ)。そうすることによって、表面上はきれいに乾燥した木材を、短時間で効率的に生産することが出来る。だが、このように高温で急激に乾燥させた木材は、まず表面が乾燥し、その後内部が乾燥していくため、外からは見えない内部で、乾燥による空隙ができることが多い(fig:7)。また何よりも、高温で乾燥することで、木材にとって最も重要な、細胞を構成する養分をかなりの割合で失うことになる(具体的には、泥のように木材からすべて排出されてしまうのである)。このようにして、高温で乾燥させられた木材は、外見上分からないが、内部はパサパサな質感で、ノミやノコギリを入れた際に、割れやすいという欠点があり、様々な問題が報告されている。外国から輸入される木材の中には、経済優先で生産されたこのような木材が多いとも言われている。(fig:5)乾燥収縮による変形(fig:6)高温乾燥窯(fig:7)木材内部の空隙の様子低温乾燥という技そういった中、昨今注目されているのが、木材の「低温乾燥」(fig:8)で、45度というかなり低い温度で、じっくり時間を掛けて乾燥させる。そうすることで、木材の養分がしっかりと残り、粘り気のある木材となる。45度というと、サウナより低く、私も体験したことがあるが、人間も一緒に窯の中に入ることができる。では何故今までこのような低温(fig:8)愛工房の乾燥窯63