ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

<作品16:Honey Dipper ><作品17:帽子>本質的な基礎を理解した状態とはいかがだったであろうか?繰り返しになるが、このクオリティ、このレベルに、ほぼクラス全員が到達した結果である。確かにこの時点では、その作者らしい“オリジナリティ”は無いに等しいかもしれない。ただ逆に言えば、オリジナリティは何なのか?も深く考慮していきたい。昨今、作品模倣が何かと世の中を騒がせる現在ではあるが、“表面上”だけを追ってのみの「一次元の論理展開」を広げていっても、そこに互いが求める解決策や定着は存在しない。オリジナリティは、「普段の興味の対象」「リサーチによって得た視点」「1つの情報のセレクト力」「メタファーのセンス」「適切な表現力へのマッチング」など、時系列や段階別によっていくつも挙げられ、それぞれを組み合わせていくことなので、漠然と“アナログ的で見たことないモノ”がオオリジナリティではない。表面上のみをオリジナリティとして解釈するのが浸透してしまうと、今後のビジュアルの世界は、ほとんど他のものと一致を避けた“複雑なもの”になっていくことだろう。今回のアプローチは、本来のオリジナリティの礎となる“客観性”を持った「伝わるビジュアル」づくりなので、その視点から見ると、非常に作者らしさが出ているし、逆に言えば、出てしまうものである。極論すると、たとえ同じモチーフでも、この学習システムのフィルターを通して出る結果は、全て一人ひとり違う視点や結果になるのは想像しやすい。このスキルが完全に身に付いて、次の段階に進行するのが健全で、次は自身を見つめなおして“何を伝えていきたいのか”を自問自答していくことが、情報発信や、さらなるオリジナリティの飛躍となるので、その意識変換をしてもらうことになる。以上のことたちが、“本質的な基礎を理解した”という状態になると言えるだろう。そしてその指導の根幹として大事なのが、教員と学生で「学習の目的をキチンと理解してもらって共有すること」。この教育が上手くいっている原因は、それが、どの時間を切り取っても互いに共有している時間になっていることである。このアプローチで私自身もビジュアル研究に磨きをかけ、さらなる可能性を探っていきたい。39