ブックタイトル桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

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桑沢デザイン研究所教員研修会研究レポート2015

(fig.11)旧高野家住宅旧吉真家住宅がある。巨大な大黒柱としての股柱をもつ例としては、山梨県塩山市の旧高野家住宅(江戸後期)(fig.11)が有名である。中世までの民家で現存するものは非常に少ないが、15世紀後半に建てられたとされる兵庫県神戸市の箱木家住宅(fig.12.13)は、軸組と小屋組に分かれている点は近世民家に準ずる(fig.14)。がしかし、近世民家と違い、柱を省略することなく、短いスパン(間隔)で柱が建てられており、また、竪穴式住居を彷彿とさせるように、柱、梁共に非常に細い材で組まれていることは注目に値する。これは、16世紀に建てられたとされる兵庫県の古井家住宅(fig.15.16)でも同じことが言える。この二つの代表的な中世民家では、荒い釿(ちょうな)削りの柱をはじめ、住宅内外には象徴的な要素は全く見られない。一般的に民家というと、太い柱と梁といった象徴的な部材を想像させるが、実際は柱も梁も“意図的に”、“非合理的に”太くなっていったことが、これら現存する最古の民家を見ても分かる。16世前半に建てられたとされる群馬県富岡市の旧茂木家住宅(1527)(fig.17)は、板葺き屋根で軸組と小屋組の区別がなく、棟持柱があり小屋の造りに近いことから、箱木家より古い形式のものと見られる。この頃の柱は掘立柱ではなく、礎石の上に立つ「石場建て」なので、貫などの横材がない限(fig.12)箱木家住宅り、構造的に安定はしない。旧茂木家住宅では、棟(fig.13)箱木家住宅平面図58