ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

ページ
10/78

このページは 桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

8fig-20_ 土間中心付近にある独立柱fig-21_ いなべやとからうすの間にある八角柱八角形の独立柱 旧奈良家住宅の土間空間には、特徴的な柱が二本ある(fig-19)。一本はかなり太く(fig-20)、また二本とも八角形であることも大変珍しい(fig-21)。「日本の民家 第1 巻 農家」によると、「構造は、小屋梁を段々に組み、土間の独立柱は小屋の中へ延びるなど軸組と小屋組の境界がはっきりしない。(中略)東北の古い家は、土間に荒けずりの多角形断面に上屋柱をたてているが、旧奈良家の場合仕上げはていねいで、とくに八角にしていなければならない理由はない。土間には多角形柱という伝統を受け継いだものだろうか。」とある。小屋組とは、屋根の部分の骨組み(構造体)のことで、軸組とは屋根より下の部分の壁や床の骨組みのことである(fig-22)。 一般的に民家というと、土間に立つ太い大黒柱をすぐに想像するであろう。こういったいわゆる大黒柱も、ほとんどの場合、小屋組まで達してはいないことが多く、小屋組最下部にある梁の下で切れている場合が多い(fig-23)。小屋組と軸組というように、全体の構造が二つに分離され始めたのは16 世紀前後と推測され、それ以前は全体が一体構造であった。そしてその一体構造では棟持柱といわれる、一fig-19_ 旧奈良家住宅平面図(赤い部分が二本の八角柱)fig-22_ 小屋組と軸組