ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

11fig-31_ 旧奈良家住宅に内包される「神の空間」fig-30_ 旧奈良家住宅の天空に伸びる独立柱参考文献「日本の民家 第1 巻 農家Ⅰ」(学研研究社出版)「日本の民家 第3巻 農家Ⅲ」(学研研究社出版)旧奈良家住宅パンフレット(秋田県立博物館)草彅家住宅パンフレット住宅建築2014 年10 月号「柱と建築」特集(建築資料研究社)民家に内包された「神」の空間 旧奈良家住宅は、梁間(梁と梁の間隔)が広いので、屋根も大きく、高い。その大きな屋根を支えるために、巨大な叉首(さす)を組んだ構造(fig-29)とするのではなく、小屋梁(屋根の部分に位置する小さな梁)を何段も組み上げる手法を採用している。それによってできた土間の上部に広がる空間は、闇の空間に垂直に伸びる八角形の独立柱によって、繊細かつ力強い垂直性を表している(fig-30)。 旧奈良家住宅の土間は、一段上がった板の間や畳の間といった天井が貼られた室内空間とは、空間の広さや上昇性という意味において、正反対の様相を見せる。旧奈良家住宅の土間空間はまさに、板の間や畳の間などの部屋という「人間の空間」に対し、対比的に創造された「神の空間」であったのではないかと思う(fig-31)。 そういった「神の空間」を住宅内部に持つこと。また、外部空間と室内空間の間を緩衝するするように、「神の空間」が挿入されていると解釈することで、何か全く新しい住宅のあり方が浮かび上がってきたような気がしてならない。(* fig-1,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,21,27,30,31 は筆者撮影)