ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

12大久保 晃 | 造形担当Aquira Okubo ドロー(ドロウ)の意味は「引く」、「引っ張る」。「引き寄せる」などである。もう少し具体的な例文等を見てみると、●「draw a wagon」・・・・・ 荷車を引っ張る●「draw a curtain」・・・・・ カーテンを引く/カーテンを開ける、閉める●「draw a person」・・・・・ 人を脇に引き寄せる●「draw mony from one’s account」・・・・・ 口座から金を引き出す●「draw to an end」・・・・・ 終わる draw には動きがたい対象への動き、あるいは重いものを苦労して引きずっていく感じがある。また、draw にはくみ出す、くみ上げるという意味もあり、「Pliase draw some watter from thecreek(小川から水をくんできてください)」などがある。他には「draw one’s gun(銃を抜く)」、「drawlots(くじを引く)」、「draw a person’s attention(人の注意を引く)」、「draw a conclusion(結論などを出す)」、「draw tears(人の涙を誘う)」、「drawa bow(弓を引く)」、「draw on a person for help(人に援助を求める)」がある。 そして、今回の所作の意味は「絵を線で描く」、「スケッチする」「デッサンする」などがあり、「drawa circle(円を線で描く)」などが良い例である。 前述した「draw」の使い方も、多様なため一見脈絡がないように思えるが、どのセンテンスも向こう側からこちらへ何らかの方法で引き寄せる動きがあることが解る。Draw-up(ドローアップ)ー 学生たちと探った「いかに描かないか」ー 何らかの描画材料で平面をなでたり引っ掻いたりしながらそれぞれの描画材や紙により、違った軌跡を残していくことになる。そういう意味で、絵や図を線描で描くという行為として「draw」は一番適した表現だと思う。そしてこのトレーニングで重要なのは、力の入れ方である。かなり力を入れて線をぐいぐい押し込むように描いたり、思い切り力を抜いて紙の表面をなぞるように描画材を滑らせたり、その中間の力具合でドローすることも独特の筆跡を残す。これを学生たちに指導する時に、大きな力を加えた線と殆ど力を入れないで表出した線を、別々のものにしないでどう繋げていくかを一緒に研究していくことになった。太さの違う線を滑らかに自然に馴染ませていくことにより、そのドローイングに豊かな立体感と自然な輪郭線が生まれる。 ドローイングは幾つかの力を入れた線、細い線と垂直にぶつかる線、細く平行に走る2 本の線など様々な線描により抑揚のある画面をつくることができる。 時には新しい線を引くためには、さっき引いた古い線を忘れることも必要になる。そして、太い線と細い線の使い分けはかなりの枚数を描いたあとに理解してくると思う。そしてその太い線から細い線に滑らかに繋がっていくためには、さらに相当数のドローイングが必要になってくる。ドローイング生活の1 年間 まず年度の最初の授業で「ドローイングをやってみたい人」、「ドローイングが描けるようになりたい