ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016
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桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016
39作品A 作品 B使用方法や具体的効果を伝達する“ 説明的要素のビジュアル” が条件のモチーフもある。このように“ 説明的なもの” から“ イメージ的なもの” までビジュアル表現の着地点はグラデーションのように存在する。ただし、これまでの教育の図式を検証するにあたってはイメージの練習になる、ファッションで実験するのが適切である。 作品A とB は同じ作者によるもので、これは筆者が前項まで唱えている条件を見事にクリアした作品である。第一段階の「人が無意識に注目する仕組み」の要素として“ 破れた紙” をキービジュアルとした。破れるということは外に向かうエネルギーをイメージさせ、さらに大胆に破ることにより気持ちよさも感じさせる。モデルの顔と口のカタチと破れたカタチの関係もいいバランスであり、破れている面積も破れていない余白とのコントラストを絶妙な緊張感が保たれるように定着している。つまり画面の中で“ 静と動” のバランスが絶妙なのだ。また色彩もモデル部分の彩度は他より高く、画面内で見せるべき箇所のコントロールが計画的に出来ている。色味もピンクを用いてファッションらしさを強調してシズル感もだしている。このことにより、モデルの表情は笑っていないが、全体的に非常に明るい雰囲気を醸し出している事が分かる。よりよいイメージを獲得は「よい意味での非日常感」が必要で、外国人モデルを起用することで実現している。ポスターを見る側の世界と少し距離が離れた世界観を提示すると、見る人はイメージの世界に入りこみやすい。作者はこの事を創る以前から理解していたので、モデル探しには相当な労力を使ったそうだが、的確なモデルやモチーフを探し揃えることが“よい画づくりの始まり” ということの理解を実証した大変よい例なった。さらにポスターだけでなくカードやバッジなど他媒体に展開したり、ストーリーまで設定するとさらに感動をコントロールできるだろう。 また違う事例として上記の作品C とD である。このポスターのアイデアを考えてもらう時にモチーフの本質の言葉を探してもらってから、ビジュアルの制作に入ってもらっている。先ほどの作品A とB は「ファッションとはエネルギー」と発見して