ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

50タイプフェイスデザイン ①豊島 晶 | ビジュアルデザイン担当Aki Toyoshima今回、私が制作したタイプフェイス「あなや」。「あなや」とは平安時代に使われていたすごく驚いたときに発する言葉で、現代だと「ああ!」「あっ!」「あれま!」っという感じの意味です。この書体は、微妙なバランスの骨格に墨を含んだ筆のようなイメージのエレメントを付け「あれま!(あなや!)またやっちゃったよ~っ!!」といった少しおっちょこちょいで憎めない雰囲気の書体になっています。日本タイポグラフィ年鑑2017 にも入選し、掲載も予定しております。私は基本的にディスプレイ書体を制作しており今回の「あなや」も同様にディスプレイ書体です。ディスプレイ書体とは、本文組にはあまり向かない、個性的でデザイン性の強い書体のことで、キャッチコピーやタイトル、ロゴタイプなどに向いています。ディスプレイ書体は本文書体の制作とは違い、遊びの幅が広いのも魅力です。私が受け持っている昼間部「レタリング」、夜間部「レタリング・タイポ」のクラスでは、オリジナルのタイプフェイスデザインを最終課題にしています。もちろん制作するのはディスプレイ書体です。3 ヶ月ほどで、ひらがな(五十音)と生徒たちが個々で選んだ文章に使われている漢字とカタカナを制作します。タイプフェイス制作は、決められたスペースの中で黒と白のみでデザインすることでバランス感覚を磨くことができ、一定のリズムで同じ雰囲気の文字を作り続けることで忍耐力も養うことができるとても良い素材です。そしてほとんどの生徒がこの課題をクリアし達成感や満足感を得ています。毎年、何人かが目の覚めるような面白い書体を制作し、私たちを楽しませてくれます。この課題を毎年続けることで生徒たちの中から新しい書体が世の中に生まれることを大いに期待しています。