ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.44 2016

68本田 圭吾 | プロダクトデザイン担当Keigo Honda 地方分散型の新しい社会・経済構造の創出にデザインが貢献できることについて「東京meets 農村× デザイン」をテーマに開催するサステナブルデザインワークショップ1. spedagi について このプロジェクトはインドネシア・ジャワ島で2013 年にスタートしたspedagi(スペダギ)プロジェクトと連携するspedagi Japan(ボードメンバーとして筆者参画)が推進するものです。 インドネシアのspedagi は、ジョグジャカルタから北へ約80 キロの中部ジャワにあるKandangan( カンダンガン) 村で、デザイナーSinggih S.Kartono(シンギー・カルトノ)氏によって始められたソーシャルデザイン活動です。 spedagi とはインドネシア語で「朝、自転車に乗る」ことを意味する造語で、その名の通り早朝自転車に乗って村を巡っては村人たちが抱える様々な社会的課題の相談に乗り、デザイン的視点からのアドバイスを提供する活動です。 その自転車のフレームなど主要部品に、村に豊富に自生するバンブー(熱帯性の竹類で、竹とは異なる特性を持っている)を利用しているのが特徴で、バンブーバイクと呼ばれspedagi のシンボル的存在です。インドネシアにおいてバンブーは、とかく邪魔者扱いされ、未開発を象徴するネガティブなイメージをSPEDAGI_TOKYO サステナブルワークショップ「こどもといっしょに東京をつくる」持っているのですが、成長が早く自然界に豊富に存在する再生可能な素材であり、建材や様々な道具類に利用できる優れた性質を有しています。 そのバンブーを貴重な自然資源として活用したバンブーバイクは、金属や石油化学製品を素材とする大量生産に対して、身近な素材を利用して必要なものを自ら制作する新しいものづくりへのチャレンジでもあるのです。_ Spedagi Ato Projects 概要2016 より2. バンブーバイク2-1 バンブーバイクのソーシャルデザイン的目標とその効果・バンブーバイクを地域の自然素材を活用したワークショップやイベントを開催する際のプロジェクトシンボルとし、グリーンツーリズムなどの観光資源として活用します。・地域における各種イベントの企画、整備拠点づくりに積極的に参加し地域生活のコミュニティづくりに取り組みます。・竹資源や地域リソースの有効活用事例とすることで、竹害を自然資本に変換し、新たな商品やサービスの開発につなげます。・物質主義的な中央集権的システムに代わる、よりサステナブルな地域分散型生産消費システムのモデルを提示します。