ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

エレメントデザインの研究ー椅子の制作を通してー大松俊紀|スペースデザイン担当Toshiki Omatsuドット(斑点)が、与えられる対象とは全く無関係に、あるモノの表面を覆い尽くしたらどうなるであろうか?絵画やグラフィックデザインではよくあることかもしれないが、それが家具や建築のレベドメープルは、無塗装にすることで、色などが経年変化していく。メラミン板を白にしたのも、当初のハードメープルの白さから経年変化していく際の色のコントラストを、少しでも際立たせるためである。ルで立体的に起こったら、それ自体がどのように変容するのであろうか?このような素朴な疑問から、今回の制作ははじまった。ドットのような単純なグラフィックが、対象を覆い尽くすことは、その対象の存在を、希薄にすると同時に顕著にもし、その対象の存在自体の意味を問う。椅子の形状は出来るだけ普通のものとし、素地は出来るだけ白い木肌でかつ硬い木質を持つハードメープルを使用した。すべての厚みを40mmに統一することで、各部(座面、脚、背もたれなど)の在り方の差異を無くそうとした。また、すべての表面にメラミン板を貼り、特殊なルーターで均一に球状の穴をあけた。そうすることで、さらに各部の在り方は均質になり、またいわゆる椅子の触感を変容させた。球状にあけられた穴からは、素地のハードメープ平面的なグラフィックと違い、ドットが球体として、立体的にあるものを均質にくり抜くことで、くり抜く球体と、くり抜かれた対象の間で、ポジとネガの関係が発生し、またその関係は反転もする。つまり、そこに残された物質的な白い椅子を見ると同時に、くり抜かれたいくつもの球体という立体的なグラフィックパターンの虚体群を想像することも可能である。今後この実験家具は、机などにも展開していく予定である。ルが見え、感じることができる。表面のメラミン板は、経年による多少の色のくすみはあるものの、大きな色の変化はしない。それに対し、穴から見えるハー材料:ハードメープル、メラミン板(AICA CORE「C-6000BG」)制作:フルスイング12