ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

〈写真1〉〈写真2〉ので、予算がかからない)、3.「背景(下地)の素材がそのままイメージに繋がる」(自然なモチーフだったら、無垢の木肌を見せる、未来感のあるモチーフなら金属などにするだけで、イメージを合わせることが可能)、4.「光にあまりこだわらなくてよい」(強い光か、影の少ない光かなど数種類だけでシンプルな考え方でよい)、5.さらに予算がなければ、モチーフのみの「キリヌキ」でもよい。などが挙げられる。参考例として「Tastemade」のムービーなどをご覧いただければ、先ほどの1から4は全て当てはまっていることに気づくことだろう。また、他のアプリや媒体など、意識して見渡すと今本当に真俯瞰アングルが多いことに気づかされることだろう。そして、重要なのが、この「真俯瞰アングル」によって無味無臭なはずの「説明的ビジュアル」が、説明できていて分かりやすく、しかも華やかな印象になってしまうという点である。筆者の主張する本来の「イメージビジュアル」のそれとは性質は違うものの、このような制作者側に取り組みやすいやり方で、しかも情報発信者がこれだけ華やかな印象を獲得できるのであれば、加速的にこの手法が広まるのは必然であろう。しばらくはこの「真俯瞰アングル」は続いていくと思われるし、もはや流行ということではなく、「分かりやすく、イメージがよい」というビジュアルはこの先も続くことは間違いないので、確実に定着するであろう。このようにアングルだけとってみても、今がどのような時代かを証明できるのは、面白い学問といっていいのではないだろうか。実際の撮影方法これまでの主張を実際に技術の公開として学生と共有するのが分かりやすい教育現場であることなので、ワークショップとして広告カメラマンの堀口真澄氏と「真俯瞰アングル」の撮り方を実験してみた。モチーフは「最低限説明の必要な物」でありながら「いいイメージを増幅できるもの」がふさわしく、すぐにイメージできるのは“料理や菓子、パン”などのシズルを伴う物が容易なのだが、今回は画集にした方が学生のポートフォリオにも活かせるということで、画集の見開きでおこなうことにした。〈写真1〉と〈写真2〉をご覧いただきたい。この手のモデルの入った写真は、ポートフォリオで学生たちがやってみたいシチュエーションである。ページものをデータで載せるのは味気なく説明的でしかない。現物を見開きの状態で影付きで撮影するとそこに“存在感”が生まれる。さらにモデル20