ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

作品Cたとえ下手であっても気持ちがこもっていれば嬉しい。当たり前のことであるが、相手の気持ちをコントロールするのがデザインの大きな武器なので、手書きに注目し、研究することは大変重要かつ有効であると考える。そんな中で、今年のポスター課題の学生作品の成功例をご覧いただきたい。文字がビジュアルという認識作品A,B,Cは一人の作者で3枚一組のポスターである。3枚の中の作品Bが表紙のような役割なので、ロゴが入っておりオープニングのような文章の導入は書体の方が最適である。それと代わって“イメージを誇張する”役割が作品AとCの両隣で、モデル自身が感じている言葉を手書きにしていて、本人の温もりのような気配が滲み出ている演出は、世界観の確立という意味でも秀逸であると言える。そして同時に“信頼”も備えていて、手書きの手法として一つのお手本ではないだろうか。見る人の気持ちをコントロールするデザインがこの時点で習得できていることは、今後もロジックで考えられることを証明している。この“信頼”。情報発信者の虚像感をどのようにいい意味で払拭するかは、信頼を獲得するためにビジュアルデザインを生業とする人間にとって修練しなくてはならない事柄である。作品AとCは写真の人と手書きタイポが渾然一体となっているため、文字がかなりビジュアルの方面に向いていることが分かる。この文字がモデル自身の言葉と認識させれば、このモデルの言葉であるので、この写真が“信頼できる気配”を纏う。結果このポスターが信頼できると言う構造につながる仕組みである。こういったビジュアルの感じ方の証明は説明する際に非常に重要になるので、留めていただければ幸いである。この他にも「ビジュアルを証明する言葉」は我々教育者としては共通言語にしていく必要があるので、また発表していきたい。23