ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

図1:「(口絵)押入のかたづけ方」『婦人之友』1914年6月号久保加津代は『婦人之友』における記事内容を分類し、そのなかでの住宅・住生活関連の記事の割合を出している。おおまかには、「人生論・時事問題が約二割、文芸欄が約二割、食生活が一割強、家計が一割、保育・育児が一割弱、衣生活が一割弱、住生活が数パーセント」30とのことである。この割合からみると、住宅の記事の分量は決して多くはない。しかしながらその「数パーセント」の内容が多岐に渡る。久保は、自身が研究対象とした大正デモクラシー期の「住宅観」および「住生活改善」の様子を知るのに、他の婦人雑誌に比べると記事の数、内容からして『婦人之友』が好資料であると述べている。久保はさらに、住宅・住生活関連の記事内容を分類し、分類項目それぞれの経年動向を追っている31。分類項目は、「a.住様式、b.保険・衛生、c.台所、d.設備、e.インテリア・照明・家具、f.住居管理・掃除・整理整頓、g.住宅の工法や構造に関する技術的な問題、h.住宅問題・住居費、i.都市問題、j.他・分類不能」となっており、「収納」に関わる記事はe、fなど複数にまたがっている。特にfについては、1935年頃から増加していることが指摘されている。また、fの内容に関しても、「初期のものは和風住宅の管理の問題をとりあげ、間取りの変容にかかわる議論を展開しているが、しだいに整理整頓の仕方に片寄っていく」と述べられている。本レポートでは1930年代以降の記事は取り上げないが、『婦人之友』での住宅についての関心の対象が時期によって移り変わりがあったことはおさえておきたい。3-2.「収納」することとその為手『婦人之友』の具体的な記事内容をみていく。「少々狭いがきずと思ふ位の家ですと(中略)我楽多がふえては収まらぬといふので、家の中が自然38