ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

ターで上がって、二階は欧米車、三階は日本車の展示ゾーンとなっている。(p48ゾーニング図)二階の欧米車の展示は、自動車の前史ともいえる15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチのゼンマイ仕掛けの木製自動車(模型)、最初のガソリン車とされている1886年のベンツ三輪車(レプリカ)からはじまり、1940年代までの50台以上を「パイオニアの時代」から「ステイタスを乗せた豪華な車まで」5つのゾーンに分け展示している。欧米の自動車の歴史はレースの歴史でもあり、1926年ブガッティT35Bや1930年ベントレーなどビンテージレーシングカーも並んでいる。(p44)三階の日本車の展示は、1936年のトヨダAA型を起点として1970年頃までの国産車がトヨタ車以外も含め50台以上が展示されている。目玉は、トヨタが60年代後半、世界レベルの検証と技術の集大成を果たしたレースカーTOYOTA 7やスポーツカーTOYOTA 2000GTなどが当時のレース記録映像と共に展示されていることである。(p49)トヨタ博物館の素晴らしさは、トヨタ車に限らず国内外の他メーカーの名車を収集することによって、自動車の歴史を国内外を問わず整理し、トヨタという自動車企業の枠にもとどまらず、世界的な自動車の技術史、社会史として、展示されている自動車の時代背景や社会との関係なども、見る者にとって非常に良く理解できるものになっていることである。1台おちついて見ることが出来るし、2?3台密集していても、それは流線型というスタイリングでくくられているのでわかりやすいからです。マニアは必ず自動車の内部を見たがるものですが、特徴的な自動車には、スロープがあって内部をのぞきこめるようになっています。やわらかな照明、グラフィック処理されたサイン類、一般の人々でも充分満足できるミュージアムです。私は博物館は生きものであるべきだと思っています。これからはスタテックな展示でとどまるのではなく動態保存と収蔵庫の充実を計ってもらいたいと考えています。自動車は、どんなに古いものでも走ってこそ価値があるもので、走れる状態で保存し、走行コースも整備し、時にはその走る様を多くの人々に見せて欲しいですね。〈中略〉解放された雰囲気の中で名車を楽しみながら、きちんとマナーが守られている。それは、展示されている自動車の素晴らしさもさることながら、練られた展示の仕方によるところも大きいと思います。」小林氏のこのコメントは、プランニングを担当した私の展示意図をまさに代弁しており、“展示の力”を評価してくれたことは、大きな励ましとなった。博物館は生きものカーグラフィック編集総局長であった小林章太郎氏は開館当時このように話している。「ユーザーフレンドリーという言葉がありますが、まさにピッタリなミュージアムです。それはスペースに余裕があり、展示を見る側に立って考えているために、1台ルネ・ラリックのマスコット46