ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

Guest institutionKuwasawa Design SchoolTokyoLecturersAsuka Kawabata,Kuwasawa Design School TokyoAki Toyoshima,Kuwasawa Design School TokyoMakoto Shindo,Paul Klee Society JapanGuest lecturersLinda Pense,LeipzigTorsten Blume,Bauhaus Dessau Foundation今回は、抽象的な形の要素を使った「分析的ドローイング」と、カンディンスキーの概念に沿った「色」のセミナーを含む、当時のデッサウで行われた基礎課程での授業に焦点を当てたワークショップを行いました。1922年から1930年にかけてのバウハウスの新入生にとってカンディンスキーの基礎課程での授業は必修科目でした。「分析的ドローイング」の授業は、円形、正方形、三角形、菱形の基本的な形状に基づいており、バウハウスのデザイン志向の教育の中で重要な役割を果たしました。カンディンスキーの「色」の授業は「抽象的な形の要素」及び「色と形の関係」の導入と密接に関わった内容でした。これらの授業は学生が色と形を認識し、解釈し、統合的なデザインを創り出す時の基礎として理解し「抽象化」を行うことが出来るようになることを目的としていました。このワークショップで必ず研究すべき例としてはエーリッヒ・メンデによる8p.8「招待校/桑沢デザイン研究所/東京講師/川畑明日佳桑沢デザイン研究所/豊島晶桑沢デザイン研究所/新藤真知日本パウル・クレー協会客員講師/リンダ・ペンゼライプツィヒ/トルステン・ブルーメバウハウス・デッサウ財団」形と色の習作の静物画(1928年)があげられます。1912年からカンディンスキーは音と色の組み合わせによる彼の「舞台構成」においても「芸術的な表現の統合」を目標にしており、デッサウのバウハウスでこの研究を再考し、そして広く研究し続けました。彼は1928年にデッサウ劇場で「絵の展覧p.9 Substances of Colour(色の物質)訳会」という舞台を発表しました。そして1927年には1914年に製作され、当時「ロマンチック演劇」色の物質とあだ名された彼の構成劇「バイオレット」をすでに改定し完成させていました。今回のワークショッこの3日間(2017年3月23 ? 25日)のワークショップは、ワシリー・カンディンスキーのバウハウス教授法を「美術工芸の新解釈に本質的に基づいたバウハウスのデザイン教育」という文脈で再考プでは、カンディンスキーの後期の作品である抽象構成劇を「完全なる芸術作品」として、統合的なデザインと構築された視覚的構成物に関する彼の教育理論とともに検証しました。するものです。カンディンスキーは、彼の授業と作品の中で、幻想的な絵画表現という機能を超えた独自の品質と意味を持つ「色」を材料・物質として発見し、探ることを可能とする「モダニズムの抽象化」という道筋を明らかにしました。「色」を物質として理解するカンディンスキーによれば、他のすべてのデザインの材料も同様の特別な価値のある物質になり得ます。今回のワークショップの主な目的の一つは、純理論的で空論的ながらも芸術的で実戦的なカンディンスキーの教育方法が、今日の芸術及びデザイン教育の基礎教育としてどこまでインスピレーションを与えたり、学びのきっかけとなることができるのか、ということを探ることです。そのためにカンディンスキーの「分析的ドローイング」や「色」といった6