ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

図H.「ビッグ・ファミリー」片にされている。未来の時点で現代の地層を発掘した場合に広範な地域で発見されることになり、なぜこんなものに価値があったのかという、不可思議な思いを引き起こすかもしれない「破片」として想像を誘われる[図I]。「777ガイジン」(1977)は「規格外」の扱いとなった真珠を集めて、貝がいったんは異物を体内に取り込むことでできる真珠が再度、輪から外されることを、日本社会におけるガイジンへの接し方になぞらえる[図J]。これらの取り組みは、金やパールなどの稀少性の高い物質を用いることで、揺るがない価値を保つ・認めるという、従来のジュエリーの制作や利用において共有されてきた前提から、積極的に離れようとしている。色彩やかたちなど造形要素による美の生成、素材の提供者を募るという仕方での共同制作の手法、物語やエピソードなど意味を付与する情報との連動に加えて、金やパールを用いる場合にも従来とは異なりユーモラスな想像を誘う手段として扱うという工夫がある。図I.「ミッキーの断片」3.ダンスにおける再創造:川口隆夫…「大野一雄について」(彩の国さいたま芸術劇場・2017)ダンスの分野で、伝説の人物による舞踊の再現を通じて、再現というには収まりきらない身体表現のあり方を示すのが、川口隆夫の取り組みである。「大野一雄について」(2017)では、舞台上のダンス・パフォーマー川口が、伝説的な舞踏のダン図J.「777ガイジン」82