ブックタイトル桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

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概要

桑沢デザイン研究所 教員研修会 研究レポート No.45 2017

図K-1.「大野一雄について」図K-2.「大野一雄について」図K-3.「大野一雄について」サーであった大野一雄の公演を、記録した映像をもとに再現しようとする(紹介文では「“完全コピー”する試み」)。練習時にはできる限り大野一雄の身体に近づくために、記録映像をしばしば止めながら、彼がどのように動いているのかを「観察」する。時間経過に沿い、目に映る姿・かたちをスケッチしながら、何歩動いた等のことばを添えることで、解釈が混入しやすい抽象化させた再現を積極的に避けようとする[図K-1,2,3]。本番の舞台上では公演の記録映像の音声がそのまま使用され、大野の踊りにともなうステップや当時の観客の咳などの響きも再現される。伝説の身体が踊る舞台をライブで鑑賞した者や、映像メディアで観たことがある者は、記憶としての伝説の身体像を「喚起」する機会を探ろうとする。かつて生み出された動きやかたちに、それが向かう超越的な調和や秩序を見て取り、そのときおぼえた官能や充足をいまここで再び得ようとする。ひとつの演目を踊り終わると、舞台上のダンサー83