卒業生インタビュー

総合デザイン科 スペースデザイン専攻
2016年卒業

鄭 愛香 / 建築家

鄭 愛香

建築家

  • 1992年愛知県生まれ
  • 2013年朝鮮大学校美術学科卒業
  • 2016年山本理顕設計工場入社

考える訓練と伝える技術〈桑沢〉にいたからこそできたこと
入社2年目で、今は主に集合住宅の設計をしています。設計の仕事は建物を建てるだけではありません。建物を建てたことで周りに与える影響や、住む人の暮らしのスタイルなどを、設計を通して提案していきます。これは〈桑沢〉の基礎デザインの授業と通じるものがあります。
入学したときは、建築を仕事にしていくとはまったく考えていませんでした。スぺースデザインは、内装や素材、外観を考えることだと思っていたところ、すべてのデザインを学ぶ1年次の基礎デザインの授業で、そのイメージが一変しました。課題は「渋谷との関わり」で、渋谷と人をつなぐにはどのようにしたらいいか、ハチ公広場に新しいものを建てたら、渋谷に来る人がどんなことを思うかを考えるものでした。デザインされた空間が人や街に影響を与えるというのは、私にとっては新しい視点でした。この授業から受けた衝撃がきっかけで、空間、建築をもっと考えていきたいと思い、スぺースデザインを専攻しました。

絵が得意だから、ものづくりが好きだからという理由で、〈桑沢〉に入学する人も多いでしょう。私も大学では美術を学んでいました。でも、もっと社会と緊密に関わることがしたくなり、「デザイン」ならそのアプローチができるのではと考えて、〈桑沢〉に入学しました。デザインとは、ある課題が与えられて、その要求にどう応えるか、何がふさわしいかを考えていく課程です。自分という枠を超えて、広範囲でものをつくり提案していく。絵は自分との対話でしたが、デザインは求める人がいるぶんもっと広い視野が求められます。建築の場合は実際に街へ出ていったり、暮らしている人を観察したりして実態を学びます。社会や人の役に立つことがとても嬉しく、楽しいです。

〈桑沢〉の授業はすべて大変でした。例えば1週間で家具をつくり、インテリアを考えて、授業のためにたくさん調べ物をし、模型をつくり、ということをしなくてはなりません。
また、アイデア出しだけでなく、どうしたらもっとよくなるか、どうすれば自分の伝えたいことが作品に反映できるのか。食事中も、アルバイト先でも、通学中も、寝る前もずっと考える日々でした。仕事の世界では、自分が考えたものを相手にしっかり伝えなければ評価をもらえません。考え提案したものがまったくそぐわなかったり、方向が違っていたりすることもありますが、それをしっかりと受け止めて、また考える。なかなか難しいことですが、〈桑沢〉にいたからこそ、それに対応できる姿勢を身につけることができたと思っています。

 <インタビュー 2018年3月>©桑沢デザイン研究所

鄭 愛香

鄭さんが担当した、大学のプロボーザル案

 <インタビュー 2018年3月>©桑沢デザイン研究所

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