総合デザイン科 2・3年次 専門課程
VD|ビジュアルデザイン専攻
一過性の風潮や流行ではなく、
見る人の誰もが連綿と備え続けている感覚を
踏まえたうえで「伝わる視覚情報とは何か」を考える
広告や雑誌、スマートフォンの画面など、現代に生きる私たちは視覚情報に囲まれています。一過性の風潮ではなく、人間がもつ根源的な要素とは何か。情報あふれるなかで、メッセージを伝える対象は誰なのか。また、それをどのように伝えればいいのか。適切な表現方法やメディアとは。こういった普遍的な問題を追究するのが〈桑沢〉ビジュアルデザインの特徴です。
3年間の学習の流れ
カリキュラム詳細
2年次 身近な問題からデザイン構築の方法を学ぶ
記号や画像、文字などの造形エレメントを駆使して、伝えたいメッセージをいかに効果的でわかりやすく、美しく、楽しいビジュアルにできるかを学ぶ。
広告や雑誌、パッケージ、デジタルデザインがあふれる時代。人は視覚情報からどのような感覚的イメージを受け取るのか。メッセージを適切に伝えるための表現方法やメディアとは。こういった普遍的な問題を追究するための基盤として、デジタル技術の基礎をマスターします。またグラフィックデザイン、パッケージやタイポグラフィ、写真やイラストなどの専門知識も身につけ、身近な問題からデザインを構築する方法を学びます。

3年次 社会に問題意識を持ち、アイデアを提案する
量産性や平面性を超えた「ビジュアルアート」の分野を学び、より幅広い発想力を養うとともに、卒業制作に取り組む。
分析の対象を社会や世界へと拡大し、論理的にデザインを組み立てる思考を養います。どうすれば社会のニーズに応える効果的な表現ができるのか。ゼミナールでは、ひとつのテーマを1年かけて追及し、作品の完成度を高めていきます。「人や社会の豊かさとは何か」という問題意識を持ち、アイデアを具体化して提案できるデザイナーへ。それを目標にして、視覚情報を的確に美しく、また楽しく伝えられる方法を研究します。
2023年度 2年次前期の時間割例

授業紹介
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2年次タイポグラフィ
文字を通した表現力を養う
タイポグラフィとは文字を素材とした表現技法全般のこと。グラフィックデザインに欠かせない文字や書体、文字組のルールを学び、文字を通して幅広いコミュニケーション力を養います。基本的な知識に基づき、自由なテーマで雑誌や書籍などの作品を制作します。
-
2年次パッケージング
「ものを包む」とは何か
商品の特性を効果的に伝えるのが商品パッケージです。「ものを包む」とは何かを考え、パッケージデザインの基礎から応用までを段階的に学習します。また消費者の興味関心をひく表現力を身につけ、具体的な商品パッケージの企画なども学んでいきます。
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3年次ビジュアルデザインIII
総合的な視点でデザインを
課題は「ショップ(店)デザイン」。時代のトレンドを読んで店のコンセプトを考え、ロゴや店内デザイン、パッケージ、広告のディレクションなどの関連アイテムを幅広く展開します。授業で学んできたことを活かして個性を発揮し、総合的な視点を養う授業です。
カリキュラム詳細
昼間部ビジュアルデザイン専攻カリキュラム.pdf3年次 卒業制作少人数のゼミに分かれ、一流デザイナーによる指導とともに、自らのテーマを掘り下げていきます。
卒業後の進路
Web/グラフィック/エディトリアル/パッケージデザイナー、フォトグラファーなど
主な求人
スマートフォンやアプリの普及により、Webデザイナーやゲーム関連の求人が増えています。
その他、グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、パッケージデザイナー、フォトグラファーなど、大きな企業から小規模なデザイン事務所まで、
多くの求人があります。
就職先 |
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求人・内定会社一覧 | ![]() |
教育職員紹介
一流のデザイナーにとって必要な視点や思考法、技術を身につけるため、桑沢では現在も第一線で活躍するデザイナーの教員陣が指導します。
教員職員一覧学生作品ギャラリー
VD「MIC」
THE BUBBLE OF POINTILLISM
VD「IAM」
VD「Muey」
VD「文字の記憶」
VD「満月のカクド」
VD「ゴールデン ボーンズ─105匹犬と猫3匹の勇者たちの水滸大冒険」
VD「Pearl」
VD「saishi」
VD「粧彩 –shosai–」
VD「meaningful」
VD「いつもの外側」
VD「星観察日記」
VD「エーデルワイスの栞【思い出のパターン集】」
VD「コロナ文字」
VD「南無阿弥陀仏」
VD「HIGHWAY GIN」
VD「静かな雨の夜に」
VD「凌霄花(のうぜんかずら)」
VD「TOSCA」
VD「Backstreet Lolita」
VD「マウンドに白煙」
VD「この場所で。」
VD「Colorful BLACK」
VD「自然の肖像」
VD「A PLACE WE CALL HOME」
VD「みずたまさいたま」
VD「eye talk.」
VD「あたまで見てる」
VD「ゆきひえ」
VD「テンポグラフィ」
VD「free flip fly」
VD「ある日の影」
VD「並存の佳景」
VD「恐怖症タトゥー」
VD「Apotheosis」
VD「モモ」
VD「丹頂」
VD「幻想叙事詩」
VD「じゃばら日本昔話」
VD「楽しい浴育」
VD「マルチーズを肩に乗せるな」
VD「迎春フォント」
VD「Speed」
VD「A LITTLE SHOPPING」
VD「視線の鏡」
VD「君の中のアリス」
VD「お破り初め」
VD「たま語」
VD「PROPOSE」
VD「よいしゅうまつを」
VD「ブラックイソップ物語」
VD「hito柄」
VD「MOSS FOR LIFE」
VD「26_26」
VD「TAIL NAIL」
VD「yumeura」
VD「中毒大辞典」
VD「MELT」
VD「わたしの仲間を紹介します」
VD「Re:action」
VD「The origin of Chinese charactor」
VD「STERIC OR FLAT」
森井ユカゼミ IKEA Japanとの企業合同課題
2022年6月にIKEA渋谷にて昼間部3年次の森井ユカゼミとIKEA Japanとの企業合同課題が行なわれました。
提案されたアイデアの一部は、2022年9月10日(土)まで開催された
IKEA Festivalの店舗アクティビティで導入されました。
アイデアは、ISTAD/イースタード フリーザーバッグを使用したエコな詰め放題企画。通常は大容量で販売されている商品を、1ピースから必要な個数を詰めることができます。

在校生インタビュー
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カン イジュ
進学先を専門学校と大学のどちらにするか迷っていたとき、日本語学校の先生に勧められて〈桑沢〉を知りました。当時はファイン…
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児玉 篤司
高校を卒業し、溶接の仕事をしていました。しかし19歳のときに、デザイナーやイラストレーターの仕事を知り、「進路を変えるなら…
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内堀 結友
舞台美術や遊園施設を演出する特殊ペイントに興味をもっていました。卒業生が特殊ペイントを行っている会社に就職している…
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松田 柊子
〈桑沢〉に入学してまず驚いたのが、どの課題でも能動的に取り組まないと、何もはじまらないということです。高校までの受け身の勉強…
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山岸 由依
美術やデザインの仕事をしたかったので、よい専門学校はどこかと探していました。その頃〈桑沢デザイン研究所〉の卒業制作展を見ま…
卒業生紹介
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アートディレクター
沖田 まはら
グラフィックデザイン部に勤務しています。ファッションからビューティ、飲食事業まで、衣食住に関するあらゆる分野のデザインに携わっています。 ファッションでは年4回、シーズンコレクションの…
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デザイナー/アートディレクター
堀口 朋奈
コンビニやスーパーで目にする食品やお菓子、百貨店に並ぶ贈答用菓子などの商品パッケージのデザインを手がけています。 クライアントである企業の思いをくみ、デザインを検討…
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アートディレクター
毎熊 那々恵
分野は違ってもデザインの根幹は一緒 基礎を学ぶことの大切さを知る。アートディレクター兼デザイナーとして、ポスターなどの広告からウェブサイト、そして企業キャンペーンや…
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イラストレーター
柿崎 サラ
母が〈桑沢〉の卒業生でデザイン関係の仕事をしていましたから、美術関係の学校も職業も身近なものでした。中学のときにはじめて〈桑沢〉の卒業生作品展を見て圧倒され、進路の…
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ウェブデザイナ一
有本 誠司
Webサイトのデザイン/コーディングをしています。コーディングとはWebサイトの骨組みを設計し、デザインを元に画面のなかでレイアウトして閲覧できるようすることです。最近で…
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デザイナー
米山 浩太郎
デザインの仕事をしたいと思いはじめたのは、18歳の頃からです。幼い頃から、絵を描いたり物をつくったりするのは得意でしたが、大人たちから「絵がうまいね」と美術の道を勧められ…
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展覧会企画
黒江 美穂
渋谷ヒカリエ8階にD&DEPARTMENTが展開している3つのスペース、ミュージアム、ストア、食堂のうち、私はミュージアムの企画を担当しています。3店舗とも、47都道府県の…
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グラフィックデザイナー
太田 みなみ
チーフデザイナーとしてパッケージを中心に担当しています。具体的には、パンやゼリー、ジャム、化粧品やネイルのパッケージ。そして、リーフレットなどの販促物、機関誌などの冊子…

VD 浅葉克己 ゼミ
- [担当教員]
- 浅葉克己
大熊 肇|本校非常勤教育職員
杣田佳穂|ギャラリーミサワバウハウスコレクション学芸員
林 加楊|書家
深谷友紀子|本校非常勤教育職員
川畑明日佳|本校専任教育職員
希望
僕は篠田正浩監督に美術監督として選ばれ、3本の映画製作に参加させていただいたことがある。1本目は「写楽」、2本目は「梟の城」、そして3本目は「スパイ・ゾルゲ」。スパイ・ゾルゲは日本の昭和時代をテーマにした映画だ。現在のアフガニスタンやミャンマーに相当する。激動の時代だった。篠田監督は台本の冒頭に「魯迅」のことばを記した。
思うに希望とは、
もともとあるものともいえぬし、
ないものともいえない。
それは地上の道のようなものである。
もともと地上には道はない。
歩く人が多くなれば、
それが道になるのだ。 魯迅
高層ビルも建ち並び、高速道路もいっぱい出来た現代。次の時代の「希望」とは何か、難しい題だが、君たちには見えている。
注:魯迅。中国の文学者。日本で医学を学び帰国後「狂人日記」「阿Q正伝」などを書く。中国近代文学の先駆者。創作・翻訳・社会批評に活躍した。東京・神田や中国・上海に行くと魯迅が来た店によく案内される。

上/学生作品「MIC」自分自身のクリエイターとしての創造力を生物として具現化した。“MIC”は“My Inner Creativty”の略で、日本語の訳では「私の内なる創造力」という意味。今はまだ小さく、眠っている状態のMICだが、将来的には立派な怪物へと成長し、世界の希望となるだろう。
/下/学生作品「THE BUBBLE OF& POINTILLISM」偶然できた泡のグラフィックをフォーマットに、ドットの色のみを変えていき、具象・抽象のさまざまな図像を映し出す。偶然生まれ、姿形を変えながら絶望へ人々を導く「コロナ」という存在から「発生の偶然性」と「広がり方」を抽出し模倣することで、人々の受けた悲しみを糧にしながら希望へと昇華する。

VD
伊藤 透 ゼミ
- [担当教員]
- 伊藤 透
中野 恵|本校非常勤教育職員
永沼真一郎|本校専任教育職員
「美しい」をデザインする
美しい人、美しいもの、言葉、風景など、この世界は「美しい」であふれています。人は何を美しいと感じるのか。人はなぜ美しさを求めるのか。このゼミでは、各自が「美しい」と感じるテーマを選び、それを元に商品の企画とデザインを行います。立体、平面、質感、色彩、象徴、言葉を複合的に扱い、新しい価値をもつ「美しい商品」のデザインをつくっていきます。授業は実際のデザイン開発プロセスに沿って進めますので、実戦的かつ総合的な知見を得ることができます。

伊藤透(いとう・とおる)
千葉大学工業意匠学科卒業。株式会社資生堂、仏カレ・ノアール社勤務の後、独立。化粧品を中心としたさまざまな分野のパッケージ・プロダクトデザインを手がける。株式会社エスキース代表、 (公社)日本パッケージデザイン協会・元理事長、千葉大学非常勤講師。
上/学生作品「IAM」 男性らしさ、女性らしさをコンセプトに、人間の骨格をテーマにしたフレグランスボトル。IAM:M(男性型)は迫力、重量感、角ばったフォルムを直線を用いてデザインし、IAM:W(女性型)はしなやかさ、凹凸、丸みのあるフォルムを曲線を用いてデザインした。男女の骨格の対比とそれぞれの美しさ、人間の芯の強さを表現している。
下/学生作品「Muey」 生き生きとした美しさをテーマに、群生のきのこをモチーフにしたスキンケアボトル。土地や木から生えてききのこが、色々な方向に向いている姿をボトル全体で表現した。中身が見えるためにボトルの上からグラデーションをつけてデザインし、一緒に机に並べるとバリエーションがたくさん見えるようにした。

VD
白根ゆたんぽ ゼミ
- [担当教員]
- 白根ゆたんぽ
中谷靖彦|本校非常勤教育職員
描いてひらく
当ゼミはグラフィックデザインの一要素であるイラストレーションを多角的にとらえ、前期では共通の課題、 後期では各自の作品ファイル制作による実践・講評を 繰り返し、「1枚1枚を描き上げる力」「描いて伝える力」をつけてきました。共通テーマにある「ひらく」 は開く、拓く、などいろいろな使い方のできる言葉です。この開放的なキワードを元に、卒業制作を最終目標とするのではなく、卒業後、つぎの世界へ学生が進んでいくためのステップととらえています。

白根ゆたんぽ(しらね・ゆたんぽ)
イラストレーター。1968年埼玉県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後フリーのイラストレータになる。雑誌、広告などの各種印刷媒体、Webコンテンツ、企業キャンペーンなどにイラストを提供。クライアントワークのほか個展開催、企画展への参加など多数。
上/学生作品「ゴールデン ボーンズ─105匹犬と猫3匹の勇者たちの水滸大冒険」中国四大奇書(しだいきしょ)の一つ『水滸伝』に基づいて、味方の登場人物をデザイン。犬猫のキャラクターを描いた。
下/学生作品「Pearl」“自分が生み出したイメージ”ではなく、“どこかに息づく得体の知れない存在”の生態に思いを馳せるような感覚。その生態の無意味さに安心しながら、彼らの姿を絵に起こした。

VD
森井ユカ ゼミ
- [担当教員]
- 森井ユカ
宮根土真砂|本校専任教育職員
キャラクターマーケティング
「キャラクター」には二つの意味があります。ひとつは「マスコット」、もうひとつは企業や個人における「らしさ」です。これらに市場価値を与える行為が「キャラクターマーケティング」であるとして、さまざまな事例を研究し、企業からの協力を得て、より豊かな生活のためのデザインや社会とつながるデザインを追求します。

森井ユカ(もりい・ゆか)
桑沢デザイン研究所卒業。東京造形大学大学院修了。雑貨コレクター、立体造形作家。キャラクターデザインの企画や監修、平面キャラの立体化など。近著に『IKEAマニアック』(河出書房新社)、『月イチ台北どローカル日記』(集英社)、粘土遊びセット『ねんDo!』企画デザインなど。
上=学生作品「星観察日記」人間の誕生から滅亡までをノンフィクションで描いた漫画を制作。1日あたり数ページで構成された短編作品は、約17000年の歳月を経て現代の我々が生きる時代で20000巻目を迎えた。
/下=学生作品「エーデルワイスの栞【思い出のパターン集】」子供の頃に好きだったものを、身近に寄り添うものに作り替えて、思い出と共に過ごすというコンセプトで制作したパターン集。モチーフ設定は実際にアンケートで行ったが、共感するものや意外なものなど、人によってそれぞれで興味深かった。

VD
工藤強勝 ゼミ
- [担当教員]
- 工藤強勝
清原一隆|本校非常勤教育職員
概念としての「本」と「告知ポスター」を造る
テーマを設定せず、各自自由なテーマにもとづいて媒体としての書物のあり方を、編集からエディトリアルデザイン~造本に至る計画、制作を通して「編集・造本・告知ポスター」などの新たなグラフィックデザインの提案をめざします。感覚的なものではなく、コンセプトを打ち出していくデザインにしていきます。また、五感を十分活用・刺激しながら、ビジュアルコミュニケーションを構築し、グラフィックデザインのあらゆる可能性を探ります。

工藤 強勝(くどう・つよかつ)
桑沢デザイン研究所卒業。1976年デザイン実験室設立。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科講師を経て2006年より首都大学東京システムデザイン学部・大学院教授、~ 14年客員教授。著書に『編集デザインの教科書』、『デザイン解体新書』、『文字組デザイン講座』など。「第7回桑沢賞」、「第48回講談社出版文化賞ブックデザイン賞」受賞。2019年「タイポグラフィをめぐる書物の森」展企画監修など。
上/学生作品「文字の記憶」文字は、人間の記憶と情報を繋いでいる。字と言葉に対する私なりの理解を、人間の記憶、感情とリンクして新たな60個文字を再構築した。かつての文字の生命力を再び呼び戻し、漢字の自由再生の可能性を実験した作品である。
下/学生作品「満月のカクド」世にありふれているモノでも、実はまだ見つかっていない魅力が隠されているのではないか。もう1度、あらゆる角度から覗き直す。そして、そこから新しい印象を捉え、イラスト、文字、ポスターで表現し、1冊の本に閉じ込めた。

VD
天宅 正 ゼミ
- [担当教員]
- 天宅正
辻原賢一|本校専任教育職員
今の気づき
今の自分が気づいたことを今の自分の表現で今の世の中に提案する。その提案が世の中にどう受け止められるか今の自分でしっかり気づくこと。自分なりの見方で世の中を観察し、自分なりの気づき方で発見していきましょう。発見するために、積極的に行動しましょう。伝えるために、自分の中にあるサービス精神を総動員して表現ししょう。デザインに限らず、ものをつくるこを続ける限り、その繰り返しだと思います。

天宅正(てんたく・まさし)
1978年兵庫県生まれ。tentai.design代表。東京藝術大学デザイン科卒業。同大学院デザイン科修了。2005-16年ドラフト。2017-19年神戸市クリエイティブディレクター。主な仕事にD-BROS「KUDAMEMO」、銀座ミツバチ「ginpachi」「銀座imogine!」、デザイン振興会「GOOD DESIGN AWARD 2020 YEAR BOOK」ほか。JAGDA新人賞、東京ADC賞など受賞。
上=学生作品「saishi」私達が普段目にしている複雑と感じるさまざまなモチーフも、シンプルな形の延長であり、一度分解し簡単な形で再構成することでモチーフが再認識できるのではないだろうか。幾何形体などの簡易的な形を用いた立体造形で人の表情を制作した。
/下=学生作品「粧彩 –shosai–」デッサンによく使われる石膏像にはそれぞれに歴史がある。真っ白で一見生命を感じられないない石膏像だが、彼女達ひとり一人に合った化粧を施し、彩ることで命を吹き込んだ。

VD
羽金知美 ゼミ
- [担当教員]
- 羽金知美
鈴木一成|本校専任教育職員
写真は面白くて難しい。
カメラのシャッターを切れば誰でも写真を撮ることができます。でも、よく撮れたと思う写真と、思っていたのとは何か違うと感じる写真が撮れることがあります。なぜでしょう? どうしたら思いに近い写真が撮れるのでしょうか? 自分の写真や人の写真をよく観察して、写真を構成するものが何なのか探ってみましょう。選択、光、主観と客観、自己と他者……。写真を通して色々な発見ができればよいと思います。

羽金知美(はがね・ともみ)
1972年東京都生まれ。1993年桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。1994年桑沢デザイン研究所写真研究科卒業。1997年フリーのカメラマンとして活動開始。
上=学生作品「meaningful」アルバムを見返した。そこにはいつも半目の私がいた。いわゆる失敗だが、私にとっては愛おしい瞬間だ。スマートフォンの写真には上手く撮れた写真ばかりが並んでいる。なぜなら失敗した画像は消されているから。ここ2、3年で世界の概念は変わった。5年後、10年後、この写真はわたしの眼にはどう映るだろうか。
/下=学生作品「いつもの外側」私たちが普段見ている風景の中には、認識されずに見落とされてきた景色がある。駅に行くまでにある脇道や商店街を抜けた先にある住宅街、片隅に置いてある置物。その外側に気づいた時、いつもの風景は新しい景色になる。普段見落とされてきた景色を自分の視点に落とし込むことで新しい景色を拾い上げていく。
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デザイナー/アートディレクター
堀口 朋奈
コンビニやスーパーで目にする食品やお菓子、百貨店に並ぶ贈答用菓子などの商品パッケージのデザインを手がけています。 クライアントである企業の思いをくみ、デザインを検討…
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インテリアデザイナー
毎熊 那々恵
分野は違ってもデザインの根幹は一緒 基礎を学ぶことの大切さを知る。アートディレクター兼デザイナーとして、ポスターなどの広告からウェブサイト、そして企業キャンペーンやイベント運営など…
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イラストレーター
柿崎 サラ
母が〈桑沢〉の卒業生でデザイン関係の仕事をしていましたから、美術関係の学校も職業も身近なものでした。中学のときにはじめて〈桑沢〉の卒業生作品展を見て圧倒され、進路の選択肢とし…
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ウェブデザイナ一
有本 誠司
Webサイトのデザイン/コーディングをしています。コーディングとはWebサイトの骨組みを設計し、デザインを元に画面のなかでレイアウトして閲覧できるようすることです。最近では、写真家の「…
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デザイナー
米山 浩太郎
デザインの仕事をしたいと思いはじめたのは、18歳の頃からです。幼い頃から、絵を描いたり物をつくったりするのは得意でしたが、大人たちから「絵がうまいね」と美術の道を勧められると、子ども…
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展覧会企画
黒江 美穂
渋谷ヒカリエ8階にD&DEPARTMENTが展開している3つのスペース、ミュージアム、ストア、食堂のうち、私はミュージアムの企画を担当しています。3店舗とも、47都道府県の魅力をデザインの視点から紹介していま…
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グラフィックデザイナー
太田 みなみ
チーフデザイナーとしてパッケージを中心に担当しています。具体的には、パンやゼリー、ジャム、化粧品やネイルのパッケージ。そして、リーフレットなどの販促物、機関誌などの冊子…

VD 浅葉克己 ゼミ
- [担当教員]
- 浅葉克己
大熊 肇|本校非常勤教育職員
杣田佳穂|ギャラリーミサワバウハウスコレクション学芸員
林 加楊|書家
深谷友紀子|本校非常勤教育職員
川畑明日佳|本校専任教育職員
希望
僕は篠田正浩監督に美術監督として選ばれ、3本の映画製作に参加させていただいたことがある。1本目は「写楽」、2本目は「梟の城」、そして3本目は「スパイ・ゾルゲ」。スパイ・ゾルゲは日本の昭和時代をテーマにした映画だ。現在のアフガニスタンやミャンマーに相当する。激動の時代だった。篠田監督は台本の冒頭に「魯迅」のことばを記した。
思うに希望とは、
もともとあるものともいえぬし、
ないものともいえない。
それは地上の道のようなものである。
もともと地上には道はない。
歩く人が多くなれば、
それが道になるのだ。 魯迅
高層ビルも建ち並び、高速道路もいっぱい出来た現代。次の時代の「希望」とは何か、難しい題だが、君たちには見えている。
注:魯迅。中国の文学者。日本で医学を学び帰国後「狂人日記」「阿Q正伝」などを書く。中国近代文学の先駆者。創作・翻訳・社会批評に活躍した。東京・神田や中国・上海に行くと魯迅が来た店によく案内される。

上/学生作品「MIC」自分自身のクリエイターとしての創造力を生物として具現化した。“MIC”は“My Inner Creativty”の略で、日本語の訳では「私の内なる創造力」という意味。今はまだ小さく、眠っている状態のMICだが、将来的には立派な怪物へと成長し、世界の希望となるだろう。
/下/学生作品「THE BUBBLE OF& POINTILLISM」偶然できた泡のグラフィックをフォーマットに、ドットの色のみを変えていき、具象・抽象のさまざまな図像を映し出す。偶然生まれ、姿形を変えながら絶望へ人々を導く「コロナ」という存在から「発生の偶然性」と「広がり方」を抽出し模倣することで、人々の受けた悲しみを糧にしながら希望へと昇華する。

VD
伊藤 透 ゼミ
- [担当教員]
- 伊藤 透
中野 恵|本校非常勤教育職員
永沼真一郎|本校専任教育職員
「美しい」をデザインする
美しい人、美しいもの、言葉、風景など、この世界は「美しい」であふれています。人は何を美しいと感じるのか。人はなぜ美しさを求めるのか。このゼミでは、各自が「美しい」と感じるテーマを選び、それを元に商品の企画とデザインを行います。立体、平面、質感、色彩、象徴、言葉を複合的に扱い、新しい価値をもつ「美しい商品」のデザインをつくっていきます。授業は実際のデザイン開発プロセスに沿って進めますので、実戦的かつ総合的な知見を得ることができます。

伊藤透(いとう・とおる)
千葉大学工業意匠学科卒業。株式会社資生堂、仏カレ・ノアール社勤務の後、独立。化粧品を中心としたさまざまな分野のパッケージ・プロダクトデザインを手がける。株式会社エスキース代表、 公益社団法人日本パッケージデザイン協会・理事長、千葉大学非常勤講師。
上/学生作品「IAM」 男性らしさ、女性らしさをコンセプトに、人間の骨格をテーマにしたフレグランスボトル。IAM:M(男性型)は迫力、重量感、角ばったフォルムを直線を用いてデザインし、IAM:W(女性型)はしなやかさ、凹凸、丸みのあるフォルムを曲線を用いてデザインした。男女の骨格の対比とそれぞれの美しさ、人間の芯の強さを表現している。
下/学生作品「Muey」 生き生きとした美しさをテーマに、群生のきのこをモチーフにしたスキンケアボトル。土地や木から生えてききのこが、色々な方向に向いている姿をボトル全体で表現した。中身が見えるためにボトルの上からグラデーションをつけてデザインし、一緒に机に並べるとバリエーションがたくさん見えるようにした。

VD
白根ゆたんぽ ゼミ
- [担当教員]
- 白根ゆたんぽ
中谷靖彦|本校非常勤教育職員
描いてひらく
当ゼミはグラフィックデザインの一要素であるイラストレーションを多角的にとらえ、前期では共通の課題、 後期では各自の作品ファイル制作による実践・講評を 繰り返し、「1枚1枚を描き上げる力」「描いて伝える力」をつけてきました。共通テーマにある「ひらく」 は開く、拓く、などいろいろな使い方のできる言葉です。この開放的なキワードを元に、卒業制作を最終目標とするのではなく、卒業後、つぎの世界へ学生が進んでいくためのステップととらえています。

白根ゆたんぽ(しらね・ゆたんぽ)
イラストレーター。1968年埼玉県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後フリーのイラストレータになる。雑誌、広告などの各種印刷媒体、Webコンテンツ、企業キャンペーンなどにイラストを提供。クライアントワークのほか個展開催、企画展への参加など多数。
上/学生作品「ゴールデン ボーンズ─105匹犬と猫3匹の勇者たちの水滸大冒険」中国四大奇書(しだいきしょ)の一つ『水滸伝』に基づいて、味方の登場人物をデザイン。犬猫のキャラクターを描いた。
下/学生作品「Pearl」“自分が生み出したイメージ”ではなく、“どこかに息づく得体の知れない存在”の生態に思いを馳せるような感覚。その生態の無意味さに安心しながら、彼らの姿を絵に起こした。

VD
森井ユカ ゼミ
- [担当教員]
- 森井ユカ
宮根土真砂|本校専任教育職員
キャラクターマーケティング
「キャラクター」には二つの意味があります。ひとつは「マスコット」、もうひとつは企業や個人における「らしさ」です。これらに市場価値を与える行為が「キャラクターマーケティング」であるとして、さまざまな事例を研究し、企業からの協力を得て、より豊かな生活のためのデザインや社会とつながるデザインを追求します。

森井ユカ(もりい・ゆか)
桑沢デザイン研究所卒業。東京造形大学大学院修了。雑貨コレクター、立体造形作家。キャラクターデザインの企画や監修、平面キャラの立体化など。近著に『IKEAマニアック』(河出書房新社)、『月イチ台北どローカル日記』(集英社)、粘土遊びセット『ねんDo!』企画デザインなど。
上=学生作品「星観察日記」人間の誕生から滅亡までをノンフィクションで描いた漫画を制作。1日あたり数ページで構成された短編作品は、約17000年の歳月を経て現代の我々が生きる時代で20000巻目を迎えた。
/下=学生作品「エーデルワイスの栞【思い出のパターン集】」子供の頃に好きだったものを、身近に寄り添うものに作り替えて、思い出と共に過ごすというコンセプトで制作したパターン集。モチーフ設定は実際にアンケートで行ったが、共感するものや意外なものなど、人によってそれぞれで興味深かった。

VD
工藤強勝 ゼミ
- [担当教員]
- 工藤強勝
清原一隆|本校非常勤教育職員
概念としての「本」と「告知ポスター」を造る
テーマを設定せず、各自自由なテーマにもとづいて媒体としての書物のあり方を、編集からエディトリアルデザイン~造本に至る計画、制作を通して「編集・造本・告知ポスター」などの新たなグラフィックデザインの提案をめざします。感覚的なものではなく、コンセプトを打ち出していくデザインにしていきます。また、五感を十分活用・刺激しながら、ビジュアルコミュニケーションを構築し、グラフィックデザインのあらゆる可能性を探ります。

工藤 強勝(くどう・つよかつ)
桑沢デザイン研究所卒業。1976年デザイン実験室設立。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科講師を経て2006年より首都大学東京システムデザイン学部・大学院教授、~ 14年客員教授。著書に『編集デザインの教科書』、『デザイン解体新書』、『文字組デザイン講座』など。「第7回桑沢賞」、「第48回講談社出版文化賞ブックデザイン賞」受賞。2019年「タイポグラフィをめぐる書物の森」展企画監修など。
上/学生作品「文字の記憶」文字は、人間の記憶と情報を繋いでいる。字と言葉に対する私なりの理解を、人間の記憶、感情とリンクして新たな60個文字を再構築した。かつての文字の生命力を再び呼び戻し、漢字の自由再生の可能性を実験した作品である。
下/学生作品「満月のカクド」世にありふれているモノでも、実はまだ見つかっていない魅力が隠されているのではないか。もう1度、あらゆる角度から覗き直す。そして、そこから新しい印象を捉え、イラスト、文字、ポスターで表現し、1冊の本に閉じ込めた。

VD
天宅 正 ゼミ
- [担当教員]
- 天宅正
辻原賢一|本校専任教育職員
今の気づき
今の自分が気づいたことを今の自分の表現で今の世の中に提案する。その提案が世の中にどう受け止められるか今の自分でしっかり気づくこと。自分なりの見方で世の中を観察し、自分なりの気づき方で発見していきましょう。発見するために、積極的に行動しましょう。伝えるために、自分の中にあるサービス精神を総動員して表現ししょう。デザインに限らず、ものをつくるこを続ける限り、その繰り返しだと思います。

天宅正(てんたく・まさし)
1978年兵庫県生まれ。tentai.design代表。東京藝術大学デザイン科卒業。同大学院デザイン科修了。2005-16年ドラフト。2017-19年神戸市クリエイティブディレクター。主な仕事にD-BROS「KUDAMEMO」、銀座ミツバチ「ginpachi」「銀座imogine!」、デザイン振興会「GOOD DESIGN AWARD 2020 YEAR BOOK」ほか。JAGDA新人賞、東京ADC賞など受賞。
上=学生作品「saishi」私達が普段目にしている複雑と感じるさまざまなモチーフも、シンプルな形の延長であり、一度分解し簡単な形で再構成することでモチーフが再認識できるのではないだろうか。幾何形体などの簡易的な形を用いた立体造形で人の表情を制作した。
/下=学生作品「粧彩 –shosai–」デッサンによく使われる石膏像にはそれぞれに歴史がある。真っ白で一見生命を感じられないない石膏像だが、彼女達ひとり一人に合った化粧を施し、彩ることで命を吹き込んだ。

VD
羽金知美 ゼミ
- [担当教員]
- 羽金知美
鈴木一成|本校専任教育職員
写真は面白くて難しい。
カメラのシャッターを切れば誰でも写真を撮ることができます。でも、よく撮れたと思う写真と、思っていたのとは何か違うと感じる写真が撮れることがあります。なぜでしょう? どうしたら思いに近い写真が撮れるのでしょうか? 自分の写真や人の写真をよく観察して、写真を構成するものが何なのか探ってみましょう。選択、光、主観と客観、自己と他者……。写真を通して色々な発見ができればよいと思います。

羽金知美(はがね・ともみ)
1972年東京都生まれ。1993年桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。1994年桑沢デザイン研究所写真研究科卒業。1997年フリーのカメラマンとして活動開始。
上=学生作品「meaningful」アルバムを見返した。そこにはいつも半目の私がいた。いわゆる失敗だが、私にとっては愛おしい瞬間だ。スマートフォンの写真には上手く撮れた写真ばかりが並んでいる。なぜなら失敗した画像は消されているから。ここ2、3年で世界の概念は変わった。5年後、10年後、この写真はわたしの眼にはどう映るだろうか。
/下=学生作品「いつもの外側」私たちが普段見ている風景の中には、認識されずに見落とされてきた景色がある。駅に行くまでにある脇道や商店街を抜けた先にある住宅街、片隅に置いてある置物。その外側に気づいた時、いつもの風景は新しい景色になる。普段見落とされてきた景色を自分の視点に落とし込むことで新しい景色を拾い上げていく。