大学を卒業して会社に勤めていました。でも、デザインへの夢を捨てきれず、〈桑沢〉がどういう学校かを確かめたかったこともあり、まずは夜間の基礎造形専攻で学びました。それから学費を貯めるためと、社会人の経験をもっと積むために、2年間アパレルメーカーで働き、改めて〈桑沢〉の専攻デザイン科へ。授業を通して感じたことは、〈桑沢〉はとてもアナログだということです。自分の手で切ったり、貼ったりして加工する。いきなりデジタルではなく、まず素材を肌で感じ取るというのが〈桑沢〉らしさだと思います。
2年次では、「ブランディング」の授業が面白かったです。ものを美しく見せるのではなく、どんな思いがけないものを組み合わせて付加価値を出すか。一般的なデザインの授業とはアプローチの仕方が違い、自分の中にあるものを引き出し、個性を発見して伸ばしていく授業のあり方に感銘を受けました。
普段、生活している中にデザインは潜んでいます。例えば、壁をこすれば模様が出てくる。それだけで自分の柄がつくれます。一から自分でつくっていくというよりも、身の周りにある模様を取り入れるだけでデザインになる。そういう視点の切り替え方や発見を〈桑沢〉で身につけることができました。