在校生インタビュー

制約があるからこそ生まれる
制作物の面白さ

総合デザイン科1年押田琴音

  • 2005年神奈川県生まれ
  • 2024年神奈川県立横浜立野高等学校卒業
  • 2005年神奈川県生まれ
  • 2024年神奈川県立横浜立野高等学校卒業

制約の中にある楽しさ

ー〈桑沢〉を知ったきっかけを教えてください。
グラフィックデザイナーの父の影響もあり、幼い頃からイラストを描くのが好きでした。進学先として漠然と美術系の大学を考えていましたが、父の仕事の忙しさを間近で見ていたため、自分はデザイナーの道には進まないと思っていました。しかし高校2年生のころ、それまで真剣に取り組んでこなかった美術の課題に改めて向き合ってみると、意外にも面白いと感じました。それ以前は課題に対して“やらされている”という意識があって好きではなかったのですが、限られた条件の中で工夫しながら制作するのも楽しいなと。制約があるからこそ生まれる制作物の面白さに気づき、自分にはデザインが向いているのかもしれないと思うようになりました。そんなとき、父から〈桑沢〉の存在を教えてもらいました。

ー入学の決め手は何だったのでしょうか?
直感です(笑)。ただ、いくつかの学校のオープンキャンパスに参加してみて、大学にはさまざまな学部があり幅広く学べる印象を受けました。一方で、〈桑沢〉はデザインに特化していて、学生一人ひとりがそれぞれ明確にやりたいことを追求しているように感じました。その点で、自分が学んでいる姿を最も想像できたのが〈桑沢〉でした。

自分に嘘をつかなくてよい場所

ーその直感は当たっていましたか?
当たっていました。同じ趣味や目標を持っている人たちと共に学べる環境って本当に大切です。高校時代までは同じ趣味の人が周囲におらず、自分の“ 好き”を表に出せずにいました。しかし、〈桑沢〉では、それぞれみんな自分の“ 好き” があって、隠さずに話しています。その姿を見て、私も自分に嘘をつかなくていいんだと思えるようになりました。それが〈桑沢〉に来て一番よかったことです。

アイデアの源は日常の観察。押田さんのノートには生活の中で気になったことのメモが記されている。


ー実際に入学してみて、入学前の認識と違っていたことはありましたか?
クラスメイトの多様性には驚かされました。私自身も入学するまで知らなかったのですが、40人のクラスのうち10人が留学生です。さらに、別の学校で写真や彫刻を学んでいた人や、社会人経験を持つ人もいます。異なる文化や世代のバックグラウンドがあるからこそ、表現の引き出しもさまざまです。彼らと話していると、自分では思いつかなかった視点に気づかされることがよくあり、そのたびに考えの幅が広がっていくのを実感します。また、クラスには18歳から30代まで年齢の幅があるものの、みんなよい意味で子どもっぽさを残していて、同世代の友人と話すような感覚で接することができています。

デザインの筋トレ

ー印象に残っている授業・課題を教えてください。
基礎造形[構成・立体]で取り組んだ“ 基本形態のイメージ30案”という課題です。この課題では、点・線・面・立体といった基本的な要素を組み合わせて、ひとつの形態を30パターンつくり出します。はじめはアイデアを出すのに苦労しましたが、繰り返しこの課題に取り組むうちに、次第にさまざまなパターンを思いつけるようになりました。まさにデザインの筋トレのような課題で、自分の成長を実感しました。

授業中、壁に掲示される“基本形態のイメージ30案”。他のクラスメートの課題を見ることも、学びの一環。


ー今後について考えていることを教えてください。
入学当初はデザインと言えばグラフィックデザインという風に思っていましたが、〈桑沢〉で学ぶ中で、一言にデザインといってもそこには多くの分野があることを知りました。なので後期に予定されているスペースデザインやファッションデザインを学んだうえで、自分に一番しっくりきた分野を専攻しようと思っています。

 <インタビュー 2025年>©桑沢デザイン研究所

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