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いつもとは
異なる仕⽅で
世界と出会うこと

桑沢デザイン研究所は2025年9⽉に、社会⼈・⼀般の⽅向けの夜間プログラム[Kuwasawa Design Studio]を新設。
第⼀弾は「メディア創造コース」。「映像」と「⾳響」に出会い直し、再解釈する講義と実習で、新たな視点と創造性を育みます。

週1回夜間の半期集中講座で、⼿を動かし、⽿を澄ませる体験を通して、⽇常に新たな発⾒をしませんか

  • 授業内容

    レクチャー (事例・視点の共有) と実習(企画・制作による理解)で構成された授業で、ユーザー体験の企画・制作にむけたメディアの利活用のかたちを探求します。 メディア (映像+ 音響) とユーザーの身体の間で体験が生まれる瞬間に立ち会うおもしろさは、手を動かしながら学ぶ〈桑沢〉ならではの授業です。

  • コース概要

    ●開講期間:9月〜翌年2月上旬(150分×15回)
    ●開講日時:週1回(水曜 18時30分~21時10分)
    ※対面授業。一部オンラインでも受けられる授業あり。
    ●定員:1クラス編成で30名

オンライン
説明会・体験授業

桑沢デザイン研究所の新プログラム「Kuwasawa Design Studio メディア創造コース」が、ご⾃宅で体験できるオンデマンド形式の説明会&お試し授業を開催します。
「映像」と「⾳響」をテーマに、新たな視点と創造性を育む本コースの魅⼒を、約45分の動画でご紹介。実際の授業の雰囲気も体験いただけます。ちょっとした時間に、⼿を動かす楽しさ、新たな発⾒の⾯⽩さを感じてみてください。
フォームからお申込みいただくと、限定公開のYouTube動画URLが発⾏されます。お好きな時間に何度でもご視聴いただけます。
※視聴状況を管理しているため、申込いただいたご本⼈さまのみご視聴ください。

お申込みはこちらから
応募資格 1. 高等学校卒業以上の既卒の方。
2. 高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められる方。
願書受付期間 6月1日~埋まり次第終了
※提出書類の先着順にて受付を行い、定員になり次第締め切ります。
出願の流れ 1. 出願の前に、まずはWEBより出願登録をしてください。
2. 応募資格を確認し、桑沢デザイン研究所より手続き書類が発行されますので、期日までに書類の送付と、学費の納入を行ってください。期日は発行される書類に記載があります。
3. 学費の納入と書類の確認ができ次第、入学が確定します。

*事前にご用意いただく書類
最終学校の卒業証明書、大学・専門学校に在籍中の方は、在学証明書でも可。
※証明書が旧姓で発行される場合は、戸籍抄本を一緒に提出してください。
また、夜間附帯教育・総合デザイン科・専攻デザイン科に出願もしくは通っていたことがある方は、証明書を追加で提出する必要はありません。
※外国籍の方は、「在留カードのコピー(表面・裏面)」と「パスポートのコピー(氏名・パスポート番号等が記載されているページ)」を提出してください。
※入学後に疾病等のため受講に耐えられないと判断した場合、入学許可を取り消すことがあります。
入学手続き 出願条件を満たした方には、WEB出願後に入学手続き書類を発行します。
手続き書類の郵送提出と学費の納入をもって入学が確定します。
受講料(年額) 入学手続き書類に記された期日までに納入してください。
※入学許可により一度納入した受講料は、理由の如何にかかわらず返金いたしません。
220,000円(税込み)
開講期間 後期9月~翌年2月上旬
修了 修了と認定された方には修了証書を交付します。
出願はこちらから(6/1受付開始)

科目概要(予定)

レクチャー:(L) ワークショップ:(W)

  • 第1週~第7週[映像の生成・ 展開 ・再活用]

    光の明滅や運動に照準しながら、
    生活の中にある映像を再考します。

    映像の再発見
    映画以前の映像技術の現代的活用:2010年代~(L)
    視覚玩具(W)
    光と影の展開
    インテリア、インスタレーションへの応用(L)
    ピンホールカメラ・ゼログラフィ(W)

  • 第8週~第11週[音響の再発見、映像との交錯]

    微細に交ざり合う響きを聴き分けながら、
    日常のなかの響きを再考します。

    音響の再発見
    日常のなかの響き:起動音・告知音・音声UI(L)
    サウンドスケープ (W)
    映像×音響の構成
    メディアアート・アニメーションの系譜(L)
    音や響きの採集・演奏 (W)

  • 第12週~第15週[新技術が生み出す視覚×聴覚体験]

    枠を超えて360度に拡がる
    映像・音響がもたらす体験を探求します。

    VR体験の企画・制作
    枠のない映像×音響技術の利用のかたち(L)
    VRを利用した視覚×聴覚体験の企画・制作 (W)

  • サウンドスケープイヤー・クリーニングと呼ばれる、「耳をひらく」ためのメソッドを応用して、文字や記号をはじめとする、さまざまな記述に取り組みます。手を動かしながら、自分自身の身体に「よく聴く」ことをうながし、音や響きで構成される世界を、いつもより繊細なものとしてとらえる機会をつくります。これも解像度を高めて周囲の世界と繊細に関わることを可能にする、そんな学習のひとつです。

  • ゼログラフィコピー機はふだん複写のための事務用機器として扱われています。しかしブルーノ・ムナーリというデザイナーはゼロックスの依頼を受けて、美的な画像を生み出す「カメラ」と見なすという、いつもとは異なる利用を提案しました。私たちも手を動かしながら、ガラス面を挟んで上部の被写体と下部の移動する光の出会いを通じて、思いもよらない「写真」を生み出す実験に取り組みます。

映像や音響の
原理を知ることで、
日常がまったく違って見えてくる

桑沢デザイン研究所では、2025年9月から別科「Kuwasawa Design Studio」という夜間の新教育プログラムを始動します。対象は、社会人や学生など一般の方々。第一弾の「メディア創造コース」では、「映像」や「音響」と出会い直し、再解釈する講義や実習が用意されています。日々の暮らしに新たな視点を提供する新コースの内容について、担当の御手洗陽先生、玉置淳先生に聞きました。

デザインとは
「生活改善に資する造形のあり方」

桑沢デザイン研究所が、一般向けの教育プログラムを立ち上げる意義について、
御手洗先生はどうお考えですか?

御手洗これは、創立期への原点回帰だと思っています。創立者の桑澤洋子先生は、戦前はジャーナリストとして婦人雑誌で、台所の効率的なあり方などを取材していました。そして、戦後の1954年、桑沢デザイン研究所を立ち上げる前夜に有志で集まって、Kuwasawa Design Studioという場をつくって、新たな探究をスタートします。彼女にとってのデザインとは、「生活改善に資する造形のあり方」でした。これを美術評論家の勝見勝さんに「リビングデザイン」と命名してもらい、「ドレス・服飾+リビングデザイン」の素養や能力を身につける学校として始まったのが、桑沢デザイン研究所だったわけです。桑澤洋子先生は、主婦を家事労働から解放するために、服飾デザイナーとして制服の量産化などにも取り組みます。その根底にも生活改善のコンセプトがあったと思います。その流れで桑沢デザイン研究所は、専門家つまりプロのデザイナーを育成する教育に取り組んできましたが、再び創立期のようにデザインの学習体験を社会的に拡げていく、そんな広場のような役割を果たせないかと考えて、2005年に始めたのが夜間附帯教育の教育プログラムでした。

玉置附帯教育には、基礎造形専攻と基礎デザイン専攻の2つがあり、それぞれ夜間に週2回の授業を実施しています。ただし、これでも忙しい社会人にとっては負担が大きい。新教育プログラムは、毎週水曜夜に週1回だけ授業を行う半期のコースなので、もう少し気軽に受けてもらえると思います。

御手洗附帯教育の狙いは、造形・デザインの学習体験をより社会へ解放することでした。美術の教育を受けたことのない一般の方に、「自分でつくる喜び」を再発見してもらうような講座があってもいいと思ったわけです。これは桑沢が課題を受け継いだバウハウスのさらに源流でもあるのですが、19世紀の「アーツ・アンド・クラフツ運動」とどこか通じる考え方だと思っています。

玉置とにかく、週1回の夜間授業で、自らの手を動かして、気軽に“暮らしを整える”体験をしてほしい。桑澤洋子先生が思い描いた創立期への原点回帰というのは、そういう意味です。まさに、Kuwasawa Design Studioという名称を継承するコースなのだと思います。

「いつもとは異なる仕方で
世界と出会うこと」

kuwasawa Design Studioでは、どのような体験ができるのでしょうか?

御手洗まず、スタートするのが、我々が担当する「メディア創造コース」です。背景には、私と玉置先生が続けている共同研究があります。テーマは、「VR(仮想現実)が新しい美的体験を生み出す可能性」です。ヘッドマウントディスプレイなどで見る仮想現実の世界には、テレビや雑誌のようなデザインのフレームがありません。つまり、VRで描く世界は“生活そのもの”だといえます。そこで私たちは、枠のない映像+音響の利用のかたちを探っています。例えば、イヌが見る世界、植物が見る世界をVRで疑似体験するような作品をつくっています。

玉置ポイントは、「いつもとは異なる仕方で世界と出会うこと」です。半年間の授業を通して、普段当たり前に身のまわりにある「光」や「音」をまったく別の方法で再認識してほしいと思っています。これはメディアの再発見と新たな利活用につながる体験になると考えています。

御手洗現代の私たちは特定のデバイスやメディアの使い方を習慣にすることによって、映像や音響との出会いが限定されています。それを洋子先生がよく言っていたように「概念砕き」をして、いつもとは異なる使い方を試すことで、新鮮な体験をしてもらおうと思っています。具体的には、響きと静寂が生み出す「サウンドスケープ」のアイデアや、光と響きが連動する「ヴィジュアル・ミュージック」の工夫、映画的な光と影の効果を空間へ展開した卒業生・倉俣史朗のインテリアの取り組みなども含めて、事例の共有に併せて体感的にも理解を深める機会にしていこうと思います。

「手を動かしながら
考える・作りながら学ぶ」

気になるKuwasawa Design Studioの教育内容について教えてください。

御手洗毎回、前半はレクチャー、後半は実習の形式で進めます。私が担当するレクチャーでは、映像や音響の実験的・定番的な利用のかたちを過去のCMや展示、インテリアのサンプルから探っていきます。例えば、19世紀のヨーロッパで作られた絵が動き出すアニメーション装置である「驚き盤」の事例などを紹介します。驚き盤は、円盤に少しずつ変化していく絵を描き、スリットを通してそれを見ると絵が動いて見えるという視覚玩具で、2010年代に入ってCMや展示などで効果的に用いられました。実習で実物を作る体験にも挑戦する予定です。

玉置実習のほうは、「手を動かしながら考える・作りながら学ぶ」という桑沢の教育理念を体感できるものになるでしょう。今回の「メディア創造コース」では、映像や音響のもとになる光や音を実際に体験してみるところから始めます。半期のコースで、驚き盤のほか、コマ撮りアニメ、ピンホールカメラなどを作りながら、身体を通して原理を学んでいきます。

御手洗実際に手を動かして、映像や音響の原理を知ることで、目の前の日常がまったく違って見えてきます。その感動を体験してほしいと思っています。資格を取得したり、デザインソフトのスキルを身につけたりするより、もっと価値のある“何か”を日常や仕事に持ち帰ることができると確信しています。