日本で最初の『デザイン』学校で未来を創造する【専門学校桑沢デザイン研究所】

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住環境デザインとは

住環境デザインでは、個人住宅や集合住宅など「住む」ための空間とそれを取り巻く環境を含んだ空間デザインを学びます。 空間デザインの業界で「インテリアデザイン」というと、お店などの商業空間の室内デザインを指すことが多く、商業空間が「非日常的な空間」のデザインであるのに対し、住環境デザインは「日常空間のデザイン」と言えます。 日常空間は、非日常空間と大きく違い、我々の毎日の日常生活を支える大切な空間です。ですので、時代や流行によって多少の差こそあれ、幸せに「住む、暮らす」という普遍的で変わらない価値観を追求することが大切です。また、太陽の光や風など、自然環境の取り入れ方をはじめ、季節の移ろいとの共存、そして地域独特の風習・文化といった歴史な要素も学ぶ必要があります。

大学の建築学科との違い

大学の建築学科における設計課題では、個人住宅の設計は専門課程の最初の段階に行い、その後は、建築の規模を次第に大きくし、用途も他の多様な課題を行うことが一般的です。ですが、桑沢では「住む」ための空間・建築しか扱いません。まずは、小規模な個の住空間の設計から始まり、家族のための個人住宅の設計へと進みます。そして最終学年において、個が集まって住む集合住宅の設計を行う流れとなります。

住環境デザインに関する仕事

個人住宅設計

海外と違い、ほとんどの土地が個人の所有である日本においては、個人住宅設計の仕事は絶えることはなく、若手建築家の仕事は、まずは小さな個人住宅の設計から始まると言っても過言ではありません。また、個人住宅の設計は、建築設計の基本がほとんど詰まっていると言われています。 日常における人間と空間の基本的な関係、そしてその関係が社会とどのような関係を結べばよいか、という建築の根本的な問題を考えるには、個人住宅の設計は最も適しているとも言えます。

集合住宅の設計

アパート、マンションなど呼び方の違いはありますが、他人同士、他の家族同士が一緒に住む住宅を集合住宅と呼びます。都市においては、集合住宅は欠かせないものですが、同じ住戸が単に連続したような、経済性や利便性だけで成り立つ多くの集合住宅だけでは、都市に快適に住むことは出来ません。集まって住むことの豊かさや新しい快適性を改めて追求し、今一度都市に集まって住むことの意味を考えることが、集合住宅の設計課題では求められます。

集合住宅(マンション)の室内設計

ディベロッパー(開発業社)や大手設計事務所などが集合住宅の建築部分の設計を行い、インテリアデザイン(室内のデザイン)は、インテリアデザイナーに外注するというケースも増えています。

個人住宅や集合住宅の室内リノベーション

最近では、中古の個人住宅やマンションをリノベーションして新しく住む需要が非常に増えています。新規の個人住宅の設計同様、若手のインテリアデザイナーや建築家は、集合住宅の室内設計をする機会が非常に増えています。

住環境デザインに必要な知識とは

個人住宅や集合住宅の設計には、建築設計の基本的知識は必要です。基本的な知識とは、建築計画、建築法規や構造などの知識ですが、専門学校や大学レベルの設計課題においては、これらの知識は限られた範囲で十分に対応できます。それよりは、建築の歴史をしっかりと学んだり、住宅に限らず、建築の実例とその図面を数多く見ることの方が、より実践的な勉強になるでしょう。

設計者の役割

住宅に限らず、建築の設計においては、必ず「施主―設計者―施工者」という三者が存在します。施主は発注者で、クライアントとも呼ばれます。実際の発注においては、具体的な敷地と設計条件がありますが、学校の課題では、敷地の設定や設計条件は先生が与えることになります。施工者は、敷地で実際に建築を施工する(建築する)会社のことで、学校の課題では存在しません。 工務店と呼ばれる会社では、施工会社の中に、現場を管理する施工担当者が設計者も兼ねることがあります。また、ゼネコンと呼ばれる大きな会社では、会社内に、設計部署と施工部署が分かれて存在します。 学校の課題では、設計者はもちろん学生本人ですが、実際のプロセスでは、施主と施工者の間に入る調整役という立場になります。施主からの要望を設計図にまとめ、施工者に適切に施工の指示を出します。また施工者側から出る施工上の問題や変更などをよく理解し、限られた予算の範囲で適切なデザイン変更で対応し、施主に伝える必要があります。

設計のプロセス

設計課題は、先生が敷地や設計条件などをまとめたものを学生に伝えることから始まります。設計課題によっては、具体的な敷地がある場合もあれば、大きさや簡単な周辺状況だけが決められた抽象的な敷地の条件の課題もあります。また設計条件も、事細かに先生が指定するよりは、学生自身が「その敷地には、どのような空間が必要か?」と自ら考えるような課題条件が多いです。 エレメント(家具や照明など)やインテリアの課題も同様ですが、最初から住宅の形を考えることは少なく、ほとんどの場合、条件のリサーチから始まります。

住環境デザインの基本

リサーチとは調査・研究のことですが、住宅設計課題においては、敷地のリサーチ、そして設計条件や過去の住宅例のリサーチから始まります。 敷地のリサーチにおいては、場所の歴史的背景のリサーチを始め、現在の周辺環境の現地調査などを行います。設計条件のリサーチでは、条件に合った過去の住宅例を集め、それらがどのような意図で設計されたか、そしてそれが現在の状況にどのように合うのか合わないのかを調査・研究し、先生の前で発表するために、プレゼンシートにまとめます。

敷地模型製作

具体的な敷地がある場合は、手に入る地図や現地調査をもとに、適切なスケール(縮尺)の敷地模型をまず製作します。

アイデア・スケッチ

リサーチで分かったことをもとに、住宅全体のアイデアや住宅内の個々の空間のアイデアを視覚的な情報に変えていきます。主にスケッチで二次元的に表現します。 スケッチでは、デッサンの基本的な能力が必要となりますが、昼間部・夜間部ともに、住宅設計の授業に入る前の過程で、基本的な「デッサン」の授業があります。 デッサンはすべてのデザイン分野において、必ず必要とされる基本的な技術でもあるので、学校でのデッサンの授業が終わっても、引き続き、自分で色々な建築などを見学しに行き、建築デッサンを続けることをお勧めします。

スタディ模型製作

アイデア・スケッチの次のステップとしては、二次元の情報を三次元に置き換えることです。模型を作ることで、アイデア・スケッチの段階では漠然としていた、大きさ、長さ、厚みといった寸法を決めることに繋がります。また模型は、スケール(縮尺)を考慮し、住宅や建築では、1/100スケールから作り始めることが一般的です。模型には必ず、適切な大きさの人形を入れ、人間に対し、空間の大きさが適切か、光の入り方は適切か等を検討します。 スタディ模型とは、「考えるための模型」で、プレゼンテーションのための模型ではありませんので、細かく作り過ぎる必要はありませんし、素材などの表現も特に必要なく、単一の素材(スチレンボードなど)で製作することが多いです。模型を見ながら、どんどんと模型に変更を加え、その都度、簡単に写真を撮り、検討している部分や変更部分を記録して、比較検討することが大切です。 模型を作ることが初めての場合は、その作り方に少々戸惑うこともありますが、一度製作すると、大体コツが掴めます。デッサン同様、模型も数多く作れば作るほど、上手くなります。

製図

製図に際しては、適切な知識と技術が必要となりますが、インテリア・建築製図に関しては、別の製図専用の授業で学ぶことになります。 図面を描くことで、漠然としていたアイデアの情報を客観的な情報として定着させていく必要があります。図面製作には、スタディ模型製作と同様の「考えるための図面」の段階と、「プレゼンテーションのための図面」の段階があります。「考えるための図面」の段階では、描いた図面を眺めるだけでなく、図面をもとに案を考え直し、どんどんと手描きで上書きしながら変更していくことが必要です。

CAD

昼間部・夜間部ともに、専門過程に入ってからは、まず手描きの図面を学びます。そして、後期からVectorworksというソフトを使用したCADの授業が始まります。授業では、二次元のCADに続き、三次元のCADも学びます。授業で学ぶVectorworksの三次元CADは、それほど複雑ではないので比較的簡単に学べます。桑沢のプレゼンテーションでは、模型表現が必ずと言っていいほど要求されますが、三次元CADを取得していると、簡単に三次元CADで検討した後に模型を作ったり、模型では伝え難いアングルや表現出来ない細かな表現をプレゼンすることができ、プレゼンテーションがより豊かで具体的になります。

エスキース

エスキースとは、授業において、先生の前で案を発表・相談したりすることを言い、個人エスキースとグループエスキースがあります。 授業中にスケッチや模型などの作業をすることは少なく、授業においては、各学生が先生の前や他の学生の前で自分の案を発表し、講評される時間がメインとなります。ですので、リサーチをはじめ、スケッチや模型作業は授業外で自分で行い、取りまとめたものを授業に持参する必要があります。

まとめ

桑沢を卒業した学生で、建築分野に進む学生は、住宅設計を中心とした比較的小さな建築設計事務所に進む学生が多いです。 卒業後すぐに建築士の受験資格は得られませんが、ある一定の期間、一級建築士事務所で実務経験を積むことで、二級建築士の受験資格を得ることができ、建築事務所を開設し、独立している卒業生もいます。 住宅設計を含む建築設計の分野は、インテリア設計の分野と違い、資格を含めた法律的なことも多々要求されますが、社会において誰しもが出来る仕事ではないので、長く働くには、大変やりがいのある職種であります。

この記事の監修者

桑沢デザイン研究所

スペースデザイン分野専任教員
大松俊紀
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