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本記事は、高校生向け新聞である「進路新聞」を発行している大学新聞社が本校卒業生のオカタオカ氏をインタビューした内容を掲載しています。

情報を分かりやすく伝える役割を持つものの一つに「イラスト」があります。そのイラストを雑誌や広告、ウェブページなどに掲載するために描き起こしたりコンテンツの一つとして描いたりする専門家がイラストレーターです。 動物や自然をモチーフとするイラストを強みにフリーランスのイラストレーターとして活躍するオカタオカさんに、お仕事内容やモットーなどについてお話をうかがいました。

「好き」の引き出しを増やすことで世界観を確立させていく

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―― 現在のお仕事内容を教えてください。

イベントの告知活動に使用するチラシのビジュアルや、アパレルブランドの洋服に使用するイラスト、雑誌の挿絵、飲食店のロゴマークなどといった、さまざまな媒体のイラストレーションの作成を担当しています。クライアントのイメージや指示に沿ったイラストを提供することがイラストレーターの仕事です。 作品をつくり上げるに当たって、すぐにアイデアが思い浮かぶこともあれば、資料を読み込みながら時間をかけてイメージを紡ぎ出すこともあります。




―― オカタオカさんの作品の特徴を教えてください。

動物や自然をモチーフにしたイラストを得意としています。イラストの雰囲気が柔らかい点が特徴のため、「温かみがある」と評価をいただいています。 作品の方向性を強く意識しながら制作に当たるのではなく、作家の人柄が作品の特徴として表れるのだと思います。

―― フリーランスでご活躍されています。仕事が依頼されるまでの流れを教えてください。

イラストレーターとして活動を始めた直後は、デザイン事務所に就職した専門学校時代の友人経由や、作品の展示会に来場した方から仕事を依頼されるなど、少しずつ人脈を自力で広げていきました。
いまでは、イラストが採用されたポスターや雑誌、ミュージシャンとのグッズなどの作品が私自身を営業してくれています。企業まで足を運んで直接売り込みをするのではなく、世に出たイラストを見て自分の存在を知っていただくことで仕事の依頼につながります。作品が自分の名刺代わりになっています。

―― クライアントに納品が完了するまでの流れを教えてください。

依頼された案件の内容によって、必要となる時間は異なります。例えば、大規模なイベントの場合は、スケジュールに余裕を持って進行します。一方、知り合いからの依頼などの場合は短期間のスケジュールで進んでいくこともあります。

―― クライアントからはどのようなスキルが求められるのでしょうか。

クライアントは自分の商品のイメージに相応しいイラストが描けるイラストレーターを探します。そのため、イラストレーター自身も確固たるイラストの方向性を持つことが仕事の依頼につながります。作風の「色」をしっかりと確立させる必要があるでしょう。

―― イラストレーターのお仕事をする上で必要となる能力を教えてください。

最近では、SNSを自分の作品の魅力を発信する重要なツールとして活用するイラストレーターが増えています。そのため、自分の作品を外へ発信するSNSの運用能力が求められているように感じています。
イラストを仕事にする上で一定の画力は必ず必要になります。しかし、それ以上に大切なのは人間性であると考えています。同じ画力を持っている人に仕事を依頼する場合、その人の人柄が最終的な決め手になるのではないでしょうか。

―― お仕事をする上で心がけていることを教えてください。

クライアントの要望通りに作品を仕上げることは大前提としてありますが、気づかれない範囲で指定されたイラストのポーズを少し変えてみたり、少しだけ色のタッチを変えてみたりするなど遊び心を忘れないようにしています。

―― お仕事をする上で印象に残っているエピソードを教えてください。

高校生の頃からファンだったバンドのグッズデザインを担当したことです。コンペティションではなく、バンド側から依頼をいただけたことも自分を〝見つけてもらえた〞という喜びにつながりました。
グッズ制作以外にも、メンバーが仕事で使用するヘッドフォンのイラスも担当させていただきました。そのバンドは残念ながら解散してしまったのですが、最後の音楽番組に出演した際、私がデザインしたイラストが描かれたヘッドフォンを着けているのを見た瞬間、言葉に言い表せないほどの喜びを全身で感じたことを覚えています。自分もバンドメンバーの一員になれたかのような気分を味わいました。

―― 反対に大変だと感じたエピソードはありますか。

イラストレーターとして活動を始めたばかりの頃、海外小説の日本語訳版の装丁や挿絵を描く依頼を受けた時のことです。物語の中でワニが登場するシーンがありました。クライアントからは「オカタオカさんがイメージするワニを描いてください」と、特に具体的な指示がない状態で仕事を受注しました。
しかし、提出したイラストをなかなかクライアントに納得いただくことができずに何度も修正を提出しました。最終的には会社まで足を運び、直接指示を受けながら何とかクライアントに納得いただけるワニを完成させました。完成した作品を見ると、〝自分らしさ〞が失われたように感じたのです。仕事の依頼を受ける際は、十分に相手の求める形を把握する必要性を痛感しました。

―― 現在のお仕事を目指したきっかけを教えてください。

子どもの頃から絵を描くことが好きで、大学受験では美術系大学を受験しました。結果は残念ながら不合格。一年間浪人生活を送り、地元・宮崎県の大学の人文学部に進学し、社会学やメディア論を専攻していました。偶然、通っていた大学にデザイン系の専門学校で講師をしていた教授の講義を受ける機会がありました。教授の話を聞いているうちに、自分の中で眠っていたデザインに対する思いに再び火が着き、デザインに対する興味が沸いてきました。大学卒業後に上京し、専門学校桑沢デザイン研究所(東京都渋谷区)に再進学しました。

―― イラストレーターを目指す高校生にメッセージをお願いします。

好奇心旺盛な気持ちを忘れないでください。イラストレーターに限らず、仕事をする上で「好き」の引き出しを増やすことは大切です。役立つ場面がたくさんあります。強烈な興味を持っていなくても、近所で開催されている展示会に足を運ぶなど、きっかけとなるものは何でも構いません。興味の幅を広げることで、自分の好きなものを増やしてくことに意味があります。 「イラストを描くことは好きだけど、何を描いて良いか分からない」と悩むイラストレーターも少なくありません。そのような壁にぶつかった時に、例えば「アウトドアが好き」「海外のカルチャーが好き」「自動車が好き」などといった自分の中に軸となるものを持つことで描きたいイラストの方向性を見つけることができるでしょう。


インタビュアー:『進路新聞』第56号(令和4年10月5日発行)掲載
記事提供:大学新聞社
画像提供:オカタオカ氏
<令和4年10月5日発行>
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